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7.

 (※ダミアン視点)


「はあ……、はあ……」


 私たちはある小屋に到着した。

 まさかこんなことになるなんて、思ってもいなかった。


「ねえ、あなた、どうするの!? 私たち、とんでもないことをしてしまったわ!」


「そうよ、お父様! 絶対にうまくいくって言うから、私たちも手伝ったのに!」


 妻のアマンダと娘のベラは、動揺して狼狽えている。

 それは、私も同じだった。

 なぜなら、ジャレット侯爵子息の屋敷で盗みを働いていたところを、彼に見られてしまったからだ。

 そして、それだけではない。


 私は背負って運んできた人物を下ろした。

 私たちの悪行を目撃したジャレットだ。

 彼は誰かを呼ぼうとしたから、とっさに襲い掛かってしまった。

 気を失わせて、ここまで運んできたが、これからどうすればいいのだろう。

 アマンダとベラが周囲を見張りつつ、私がジャレットを背負って運んだので、屋敷からここまで来たことは誰にも見られていない。


 しかし、問題は山積みだ。

 まず、ジャレットがここにいることを誰にも知られないようにしなければならない。

 そして、盗みの途中で邪魔が入ったから、ほとんど金目の物を盗むことができなかったので、金銭的問題も解決していない。

 これからいったい、どうすればいいのだろう……。


「ねえ、あなた、黙ってないで何とか言ってよ!」


「そうよ、お父様、このままじゃ私たち、捕まっちゃうわ!」


「狼狽えるな! とにかく今は、様子を見るしかない! 彼をここまで運んできたことは誰にも見られていないんだ! 心配することは何もない!」


 私はそう言ったが、本心は少しだけ違った。

 確かにジャレットを運んできたのは誰にも見られていないが、きっと捜索隊が捜しているだろう。

 それに、あのパーティに参加した者は事情を聞かれるに違いない。

 口裏を合わせて証言しなければならない。

 一つでも間違えれば、私たちは終わりだ。


「ああ、なんでこんなことになってしまったの……」


 ベラが泣き出してしまった。

 まったく、泣きたいのは私の方だ。


 どうしてこんなことになってしまったんだ……。

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