6.
(※ダミアン視点)
ジャレット侯爵子息様がパーティを開くそうだ。
そして驚いたことに、私たち家族もパーティに招待された。
自分で言うのもなんだが、なぜ没落寸前の伯爵家を招待したのだろうか。
しかし、これはチャンスだ。
スーザンの名義で金を借りるのは、何度もできることではない。
もうこの手は使えない。
金銭面に困っているが、金を工面する手立てがないと困っていたところだったが、ちょうどいい。
パーティ会場はジャレットの屋敷だ。
金目の物がたくさんあることは間違いない。
パーティ会場には何十人もの人が来る。
こっそりとパーティを抜け出しても、気付かれることはない。
そして、ジャレットの部屋に忍び込み、金目の物を盗む。
完璧な計画だ。
侯爵家の子息がなぜ私たちを招待したのかは、なんとなく見当がつく。
どうせ、没落しかけている私たちを見て、みんなで優越感にでも浸りたいのだろう。
いいさ、笑いものにしたければ、そうすればいい。
大金を手に入れるためには、多少の犠牲は仕方がない。
それに、最後に笑うのはこの私だ……。
*
(※ジャレット視点)
招待したダミアンたちは、パーティにやってきた。
もちろん、スーザンはいない。
彼らとは挨拶を交わして、短い話をした。
今日のところはその程度だが、時間と共に打ち解け、私の味方にするつもりだ。
ほかにも何十人と客がいるので、私は彼らの相手もした。
パーティが始まってから一時間程が経ち、私はあることに気付いた。
ダミアンたちがいない。
帰ったのだろうか。
しかし、返るなら私に挨拶をしてから去るはずだ。
なんとなく、嫌な予感がした……。
私は周りのものに気付かれないように、会場の広間から抜け出し、自室へ向かった。
彼らは金に困っているらしい。
もしかしたら、私の財産を盗むつもりなのかもしれない。
いや、さすがに考え過ぎか。
そう思いつつも、私は自室の扉を開けた。
「何をやっているんだ、お前たち!」
私の視界に入ってきたのは、部屋でダミアンたちが盗みを働いている光景だった。
彼らは驚いた顔でこちらを見ている。
誰かをここへ呼ばなければ。
そう思って叫ぼうとしたのだが……。
「まずい、バレた! くそっ、取り押さえるしかない!」
ダミアンが突然、私に襲い掛かってきた。