5.
さて、カーティス様に一目惚れされた私は、本当に屋敷にお持ち帰りされた。
そして、彼の付き人として、この屋敷で過ごすことになった。
今までは医院に住み込みで四六時中働いていたのだが、その必要もなくなった。
なぜなら、カーティス様が私の借金をすべて返済してくれたからだ。
最初は断った。
そんなの、申し訳ないからだ。
しかし、カーティス様も引かなかった。
彼は意外と頑固なのだ。
あの時、愚弟の暴走を止めてくれたお礼だと言って、結局は彼がすべての借金を返済してくれた。
そもそも、なぜ私が借金を背負っていたのか、それには当然理由がある。
それは、私の家族のせいだ。
父親のダミアン、母親のアマンダ、そして妹のベラの三人は、お世辞にもいい人とは言えない。
過去に、妹が私の婚約者を奪ったことがあった。
そんな妹のことを、両親は責めなかった。
それどころか、彼女の味方をしたのだ。
それだけではない。
家族は全員、金遣いが荒い。
家の財産も底をつき、次第に借金をするようになった。
問題は、私の名義で借金をしていたことだ。
気付いた時には、すでに遅かった。
それからは、医院で必死で働いた。
それでも、すぐに全額返済できる額ではなかった。
しかし今は、カーティス様のおかげですべて解決した。
彼には感謝しかない。
これからは、少しずつでも彼に恩返ししたいと思う。
*
(※ジャレット視点)
あのスーザンとかいう女、絶対に許さない。
大勢の前で、この私に恥をかかせた罪は重い。
相応の罰を与えなくては……。
とはいえ、部下には頼めない。
部下に自分の尻拭いをさせているようで、格好がつかない。
まずは、私の味方になってくれそうな人物を捜そう。
そうだ、彼女は家族との仲が悪い。
彼女の家族と仲を深めよう。
そうすれば、彼らから協力を得られる。
そして、あの女に復讐するんだ。
私に恥をかかせたこと、後悔させてやる……。