99、
子供が二人でこんなことしないだろ? どこかに大人が隠れているんだろ? 誰だ? 向こうに座ってるカップルか? 親にしては若すぎるか。そっち側の爺さんか?
彼は喫茶店の中をグルグル見回している。
どうやら彼はなにも知らないらしい。これ以上話をしても意味がないと感じる。それは妹も同様だった。僕に顔を向けて、首を振る。
おっ! なんであいつがいるんだ?
彼はガラス窓の向こうに顔を向けて固まった。
僕と妹もつられて顔を向ける。
そこにいたのは、ベーシストの彼だった。
僕も固まった。驚いたからというより、嬉しかったからだ。
妹は笑顔を見せる。その理由は簡単だ。バンドメンバーの中ではだけれど、一番のイケメンと呼ばれているからだ。僕にはあまり理解できない。おじさんの方が全然イケメンだと思う。ベーシストの彼は大好きだけれど、まるで隣の国のアイドルのように薄っぺらな顔をしている。悪い意味ではないけれど、まるで綺麗なキャンバスのようだ。いくらでも上手に描くことができる。
あいつまで呼んだのか・・・・ っていうか、呼ばれたからってあいつが来るってことは・・・・
なんだかこの人の様子がおかしくなった。目がキョロキョロと落ち着きがない。
どうしたんですか? 彼を呼んだらまずかったの?
妹がそう言う。空気が読めていないのか、わざとなのか、女の人って怖いなって感じる。
・・・・別に。
明らかな動揺は、見ている分には楽しいものだ。




