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この人は僕が来ることを知っていた。それは、おじさんの予想が当たっただけだ。この人はなにも知らない。ここへ来た意味はあったけれど、この人の話を聞いても意味はなさそうだ。妹に顔を向けて、そろそろ行こうとの合図を送る。
妹は頷いたけれど、この人の話は止まらない。
けれど三人はみんな知らないと言っていたよ。あいつはなにかの事件に巻き込まれたようだな。携帯電話をお前に預けたってのは本当みたいだが、三人の誰かが嘘をついている。あいつもなにかしらの嘘をついているのは分かる。連れ去られた人間が毎日のように連絡をよこすか? 一体なにを考えているんだかな。まさかゾンビになったわけでもあるまいし。
僕と妹はハッとする。息を止める音が部屋に響く。
ゾンビってのは言葉を喋れないんだよな? だからあいつは違うってことだ。まぁ、あいつの副業は公務員だしな、なにかに巻き込まれても不思議じゃない。税金を貪ってわけの分からない仕事をしてるんだろ? まったく羨ましい限りだ。




