79、
思い込みって恐ろしい。
僕はおばあちゃんの家の中を探し回った。妹の名前を泣き叫びながら。当然ゾンビ語で。
妹を探しながらも僕は書斎の前で立ち止まった。そうだ! ここにもこの本があったはず。きっとこの本と同じように中身はおじさんの手書きだと確信している。
僕の興味はほんの一瞬この本に移動した。ドアを押し開け、その一瞬が覚めていく。
おニイちゃん!
そこには妹がいた。
リョウちゃん!
僕は妹に駆け寄り、抱きつく勢いだった。
けれど、別の驚きがそこには混じっていた。
あっ! リョウちゃんも気がついたんだ!
僕の持つこの本と同じ本を、妹は手に取って開いていた。床に座りながら。
これって誰が書いたのかな? おじさんかな? なにか違う気がする・・・・
妹の言葉に違和感を感じる。僕が見たこの本は、どう考えてもおじさんが書いている。妹が気がつかないはずはない。ということは、違うってことだ。僕は妹の隣に腰を下ろしてその本を覗き見る。
うーん・・・・ 確かに違うって感じた。ゾンビの話はあるけれど、時代背景が少し古い。その言葉がおじさんっぽくない。時折音楽の話などでおじさんぽさが顔を出すけれど、違和感は拭えない。そしてなにより、これは妹には気が付けないことだけれど、この本の文字と似ているけれど、全くの別物だ。鑑定するまでもなく分かる。わざと似せているわけでも、わざと別物に書いているわけでもないのが別人が書いた証拠と言える。




