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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
69/131

69、


 おじさんの曲は、生活感の感じられない方の家の中から聞こえてくる。僕と妹は、目を合わせる。どうするつもりかは二人とも同じ気持ちだ。けれど、そうする勇気が足りない。きっとだけれど、ドアに鍵は掛かっていない。それは予感なんかではなく、確信だった。

 おニイちゃんが開けるんだよね?

 僕を見つめながら妹はそう言う。

 もちろんだよ。と僕は声を震わせる。

 ドアに手をかける。とても冷たい。さっきの玄関ドアとはまるで違う感触。僕は目を瞑り、エイッとドアノブを回した。

 ゆっくりだけど、ドアノブは回る。後は引けばいいだけだけれど、手に力が入らない。

 僕の様子を見ていた妹が、僕の手に自分に手を重ねる。暗黙のまま、二人で息を合わせてドアを引こうとする。

 バタッと手が押される。結構な勢いがあり、身体ごと後退る形になった。妹と共に。

 突然の出来事に僕は咄嗟の反応を示す。妹だけは守ろうとの意識が働き、しっかりと抱え込んだ。

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