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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
61/131

61、


 妹は、すでに僕と同じ程度の文字が読める。ということは、この国に書かれている文字なら殆どが読めるってことだ。ちょっとした韓国語だって読むことができる。

 次に乗る電車のことは妹にも伝えている。妹は僕の手に引きずられてついて来ているようにしているけれど、実際は違うと思う。僕以上に行くべき方向を理解している。僕がちょっと文字を探しているとき、なんとなく妹に振り返った。妹は文字を目で追っていた。

 好奇心が旺盛な妹は、楽しそうに文字を読んでいた。行先の検討をつけているのは、文字を見ている方向で見て取れる。自分がどっちに進むべきかを分かっていながら、僕に引っ張られていたんだ。僕が一度別の道に向かおうとしたとき、妹の手がほんの少し重くなった。

 どっちから行ってもたいして変わらない別れ道があった。僕が選んだ道は、ほんの少し遠回りだった。

 妹の意思を感じた僕は、妹の誘う方向を選んだ。

 ごめんね、おニイちゃん。

 乗り換えの私鉄改札口に到着したとき、妹がそう言った。

 どういう意味? とっさにそんな言葉が出てくる。

 おニイちゃんがさっき行こうとした道の方が正解だったよ。あっちは人が少ないみたいだよ。

 妹はそう言いながら改札に繋がるもう一つの道に顔を向けた。確かにそっちは人通りが少ない。

 どっちも正解だよ。辿り着ければどっちも正解だよ。

 僕の言葉を聞いた妹は、今日何度目かになる手をギュッとした。

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