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終着駅から次の私鉄までは、意外と距離がある。しかも、道順が何通りもあって複雑だ。父親と出かけたときの記憶は遠く、なんとなくしか覚えていない。自分の足では歩いてなかったので、得意の身体で覚えるってことができなかった。
けれどなんとかなる。人の流れの乗ればいい。いくつかある流れの中から、自分が行きたい方向を見極める。それは意外なほどに簡単だった。あちらこちらに案内の文字が記されている。どこを曲がればいいのかも矢印付きで書いてある。文字さえ読めればなんとかなる。父親と一緒に来たときには分からなかった情報を手に入れた。当時はまだ、文字はあまり読めなかった。いくつか読める文字はあったけれど、絵画と区別のつかない文字が多かった。




