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僕は覚悟を決めて、振り返る。
えっ・・・・
僕には想像ができなかった。父親が立っている。そうとしか考えられなかった。まさか・・・・
おニイ、ちゃん・・・・
妹は確かにそう言った。とういうか、僕の耳にはそう聞こえる。ゾンビ語かとも思ったけれど、そうじゃない。カタコト気味ではあるけれど、はっきりとした日本語でそう言った。
いっしょに、いくよ。
僕の目をじっと見つめながらそう言う妹を、僕は蔑ろになんてできない。
妹のカバンを取り、手渡した。
すぐに帰って来るんだよ。
僕がゾンビ語でそう言うと、妹は笑う。
ふたりで、いくんでしょ? はやくかえってこられると、いいね。
妹はそっと僕に手を伸ばした。僕はその手を繋ぎ、お風呂場に向かった。そして妹の着替えをすませるとそのまま玄関に向かって家を出て行く。
物音がしないようにそっとドアを開けた。
行ってきます。
僕は振り返り、ゾンビ語でそう言った。
いって、きます。
妹は日本語でそう言った。




