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僕は決めた。明日の朝、おじさんの家に行く。今日はもう早く寝ようかと考えているけれど、それはダメだ。普段と違う行動は、怪しくうつる。そういう兆候を見せると、勘のいい父親に訝しまれてしまう。普通にしている必要がある。
朝目を覚ますときも、アラームは使えない。一晩中起きているわけにもいかない。夜中の彷徨いをやめるだけでも、危険は増す。普通に寝て、普通にいつもより早く起きる必要がある。どうすればそんなことができるのかは分からないけれど、しなくてはならない。
母親が彷徨っているのを、夢の中で感じている。今が何時かは分からない。けれどきっと、これが今日最後の彷徨いだと感じている。
カーテンの外から光が差し込んでいる。鳩の鳴き声は遠くにある。車の走行音が聞こえて来る。早く戻ってきて欲しい。母親が彷徨いを終えて寝ついたら、すぐに準備に入らないといけない。
待っている時間はとても長く感じる。母親の最後の彷徨いは十分程度だったけれど、僕には何時間にも感じられた。
寝室に戻った母親は、布団に潜るとすぐに寝息を立て始めた。




