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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
36/131

36、


 おじさんは妹を呼び寄せ、おいしょしようね! と言いながら両手を広げた。妹は焼き魚の煙に引き寄せられる猫のように真っ直ぐとおじさんの腕の中に入っていく。

 やっぱりリョウちゃんもゾンビだったんだね。しかも生まれながらの克服系ゾンビだ! ヨシ君と同じだね。笑顔でそう言うおじさんは、楽しそうで嬉しそうだった。

 なにが楽しくてなにが嬉しいのか? 僕には疑問だった。きっと不思議そうな顔をしていたのだろう。なにも口にしていない僕に、おじさんは答えをくれた。

 ゾンビは究極の進化なんだ。暴れさえしなければ、食事もなしに生きていけるんだから最高だよ。病気にもならない。ゾンビ菌の支配に対抗できればだけれどね。リョウちゃんやヨシ君のようにね。

 おじさんの笑顔には不思議な力がある。その笑顔を見ているだけで、生きていることに喜びを感じる。僕と妹はそんなおじさんが大好きで、毎回のようにライヴに顔を出している。

 初めは気がつかなかった。ゾンビアプリで確認すらしていなかった。それはすごく危険な行為だった。僕だけならまだしも、妹を連れて行くのなら、それなり覗き込み対策をしてするべきだったんだ。

 僕がそうしなかったのは、ただ単純に未熟だっただけだ。けれど、父親は違う。大事な息子と娘を守るためになにも対策をしないなんてあり得ない。おじさんだって同じこと。

 おじさんのライヴ会場に集まるゾンビは、なにも克服系ゾンビだけではない。中毒患者系も多く混じっている。動物系や植物系は流石にいないけれど、脳死系を見かけたことはある。

 けれど、おじさんのライヴ会場でゾンビによる被害は出ていない。むしろ、中毒患者系が克服系に変わるきっかけになっているとも言えなくはない。僕は同じゾンビを何度か見かけているけれど、その眼差しの変化に驚いている。目の色が、確かに変わる。その光だけでなく、強さも変わっている。あやふやだったゾンビ特有とも言えるその表情が、しっかりとした陰影のある表情に変わっていく。

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