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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
35/131

35、


 一歳の誕生日を迎える前に、すでに妹はゾンビの資質を見せていた。生えたばかりの乳歯から、血が零れ落ちた。

 赤ちゃんゾンビの乳歯は、決まって左右の犬歯が同時に生えてくる。妹の歯を見ての大発見だ。その前後の赤ちゃんゾンビを調べることでそれが事実だと証明されてもいる。

 乳歯から血が流れ出ていることを発見したのは、僕だった。妹本人は当然気がついていない。その血を拭ったおじさんもまだ、気がついてはいなかった。そのはずだ。

 妹は抱っこされた際に、その相手の首を噛む癖があった。僕も母親も、父親も噛まれている。

 けれど全てが甘噛みだった。最も、その日以前は乳歯が生えていなかったのだから当然ともいえる。意識をしてなのか、そうでないのかは未だに分かっていない。

 おじさんの首筋に血がついていた。その血を茫然と眺めていた僕に気がついたおじさんは、黙ってポケットから取り出したハンカチで拭った。

 僕はずっと、その視線を外さずにいた。正確に言うと、外せずにいただけだけれど。

 僕の視線の意味に気がついたおじさんは、さっと僕の耳元に顔を寄せた。

 甘噛みだよ。痛みは感じていないからね。血も出ていなから問題ないよ。

 おじさんの言葉に僕は素直に安心した。

 それじゃあいつも通りだね。

 僕のゾンビ語は、時折おじさんにも伝わることがある。

 そうだよ。いつも通りが今日も続いていくんだ。

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