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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
34/131

34、


 妹を守るためにやって来るおじさんは、格好良い。ゾンビが家に集まって来ると、どこからともなくやってきては追い払う。ゾンビアプリのアラーム機能を使えば、特定の場所をゾンビがうろついただけで知らせてくれる。

 おじさんはなぜかゾンビに人気があった。ライヴ会場には多くのゾンビが集まる。ゾンビハンターにとっては都合がよくも思えるけれど、おじさんの対応は予想とは違っていた。

 ライヴ会場ではゾンビを自由に遊ばせている。妹が生まれてからではなく、それ以前からそうしていた。

 おじさんの理想も、僕と似ているんだと感じた。ゾンビとの共同生活。それができれば楽しいのに。ライヴ会場でのゾンビは、誰も襲うことなく楽しげに踊っている。

 おじさんは妹を溺愛していた。僕も以前はよく抱っこをしてもらっていたけれど、妹を抱っこする頻度とは比べ物にならない。妹の顔を見ればすぐに抱っこをする。

 妹は半年を過ぎた頃から言葉のようなものを話すようになった。日本語ではないし、ゾンビ語でもない。けれどただの呻きとも少し違う。明確になにかを伝える言葉として機能する呻きだった。

 おいしょ!

 僕の耳にもおじさんの耳にもそう聞こえた。

 その意味に、僕は気がつかなかった。おじさんの顔を見ると近づいてきて、お腹をポンと叩く。そしておじさんの顔を下から覗き込み、笑顔で言う。

 おじさんはすぐにその意味を理解した。妹を持ち上げて、抱っこをする。その際の掛け声が、よいっしょ! だった。

 何度目かのおいしょとよいっしょを聞き、ようやくそういうことかと気がついた。

 僕も真似してみたけれど、おいしょの発音は難しい。それも何度も同じように繰り返すのは苦労する。

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