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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
32/131

32、


 父親が妹を取り出した。臍の緒を切ったり、ぬるま湯で身体を拭いたり、背中を摩ったり、父親はお医者さんのようにも見えた。

 妹が元気よく泣くその姿は、可愛いというより、格好良かった。物凄く力強く、生きているんだなって実感を与えてくれた。

 元気な子じゃないか。しかも美人だ。義姉さんにそっくりだよ。

 おじさんの声が聞こえた。いつの間にか背後に立っていた。

 なんとか無事に生まれたよ。これで終わりじゃないけれど、助かったよ。お前がいなければどうなっていたことか。

 父親のそんな言葉を受けて、おじさんが笑った。

 なにを言ってるんだかな。俺がいなくても、兄貴なら自分でなんとかしただろ? 人数は多くても、相手はゾンビだ。人間の相手よりも得意だろ?

 それはそうだけどな、この子を無事に取り上げるには時間が必要だったんだ。本当に助かったよ。

 父親はそう言いながらタオルで包んだ妹をおじさんに手渡した。

 こんなにも可愛いんだな、赤ん坊って・・・・

 泣きそうなおじさんの顔を初めて見た。

 ゾンビだとか人間とか、そんな区別がなくなればいいのにな。

 おじさんの呟きに、父親は無反応だった。

 けれど僕はきちんと反応した。大丈夫だよ。いつかきっと共存できる日が来るから。僕たち家族がその証拠だよ。

 ゾンビ語で言った僕の言葉は、おじさんに届いていたのだろうか? 父親はそうだねと微笑んだけれど、おじさんは無言で僕を見つめただけだった。笑顔のようにも泣き顔をのようにも見える独特な表情で。

 その日はおじさんも家に泊まり、五人で一晩を過ごす最初の日になった。

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