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ゾンビ語は音が消えてからもその言葉を空気上に長く残し、伸びていく。外にいる父親に、その言葉が届いた。
ゾンビ語を誰かに目掛けて届かせることは難しい。出来ないわけではないと思うけれど、まずは相手側の能力が必要になる。消えた音の振動を聞き取ることは難しい。父親も、離れた状態でゾンビ語を聞き取ったのはその時が初めてで、その後も数度しか経験していない。
僕のゾンビ語を聞きつけた父親が家に戻ってきた。おじさんはいない。
心配ないよ。もうすぐ産まれそうだね。頑張れ、君なら大丈夫だよ。
父親は僕に一瞥をくれた後、母親に話しかけた。母親の表情が緩んでいくのを感じた。
妹が生まれたのは、それから数分後だった。




