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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
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26、


 携帯電話の所持が義務化されたのにはきっかけがある。ゾンビの誕生だよ。僕の誕生とも言えなくはない。ゾンビが常にどこにいるのかを知るために、携帯電話の機能を利用したアプリを作り出し、それを初めから内蔵している。正式な名前は長たらしくて覚えたくもない。世間では普通にゾンビアプリと呼んでいる。決められた機能のみしか使うことができない。削除することもできない。そう、一般的には言われている。

 どこの世界でもどの時代でも一般的ではない抜け道が存在している。そんな抜け道を、僕と母親は利用している。なんせその抜け道を初めて生み出したのが父親だったりするからだ。

 けれど、抜け道を使うゾンビは少ない。ゾンビが真面目だからと言うのもある。本当のところは脳が働いていなからなのだけれど、脳が働いていた人間時代から利用していれば問題なかった。そもそもゾンビは携帯電話が大好きだ。ゲームをしたりメールや通話を楽しんでいる。もっとも、ゲームはただ画面を叩いているだけで、ゲームとしての役割は果たせていない。テレビ画面の人や物の動きに反応して画面を引っ掻く猫のようだ。

 それでもなぜか、ゾンビアプリの使い方は上手だ。

 ゾンビアプリには、ゾンビの位置情報が正確にあらわれる。どんなゾンビがどこにいるのかがハッキリと分かる。どこから向かってきたのかも把握でき、どこへ向かおうとしているのかの予想経路も示してくれる。ゾンビが集まりそうな場所の情報をリアルタイムで更新してもくれる。

 ゾンビ化した人間は、そのアプリを使えば名前も分かるし、素性も明らかになる。

 ゾンビになる前の人間は、このアプリを駆使してゾンビから身を守っている。ゾンビアプリを利用していない人間は、この世界全体を見てもとても少ない。携帯電話の所持は生まれたときからの義務になっている。ツチノコやチュパカブラに出会うようなものだと父親は言っていた。

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