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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
23/131

23、


 妹はまだ赤ちゃんゾンビだ。とてつもなく可愛い。外を歩けば普通の人間からも疎まれる。ゾンビに出会うと、それはもう大変な目に遭うことを覚悟しなければならない。

 邪魔な赤ちゃんゾンビは排除される。つまりは殺されるんだ。中毒患者系ゾンビは、なんの迷いもなく殺し合う。そもそも人間と同じ思考を持っているんだから当然だ。腹を空かせば食事をする。そのための殺しに躊躇はない。動物の植物も生きている。生きているなにかを口にしないと生きていけないのは人間の定めなんだ。最も、ゾンビは食べなくても空気だけで生きていくことは可能なんだけれどね。

 赤ちゃんゾンビを狙うのは、中毒患者系ゾンビだけではない。脳死系は無差別だから当然として、動物系も植物系も狙っている。特に植物系はそのやり方が狡猾だ。赤ちゃんゾンビが側にいることを嗅ぎつけると、その見た目を変化させる。匂いも振りまく。音を立てて誘いもする。身体全体を利用して赤ちゃんゾンビを誘き寄せる。赤ちゃんは、騙されやすい。保護するべき母親ゾンビは、愛情こそあれど、集中力に欠けている。そのせいで、赤ちゃんゾンビは犠牲になる。稀にだけれど、脳死系ゾンビが赤ちゃんを出産することもある。それはまさに最悪なんだ。脳死系ゾンビに愛情はない。産まれた直後に襲い掛かる。怒りさえ感じている場合もある。出産の痛みを産まれたばかりの赤ちゃんゾンビのせいにする。

 ゾンビ同士での子作りは頻繁に行われている。けれど僕は見たことがない。その行為は、ゾンビ菌でさえ抗えない生き物の本能らしい。お互いにいがみ合いながらのその行為は、とても汚らしいと父親が言っていた。

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