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ベイビーゾンビ  作者: 林広正
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2、


 僕の夢は、世界中をゾンビ化すること。ゾンビは不死身だ。脳味噌を破壊されない限り死ぬことはない。しかも、人間だけではなく、動物も昆虫も、植物でさえゾンビ化できる。これこそが世界平和だと僕は思う。

 保育園に通う前の僕は、母親とずっと家の中だった。会社へ通う父親は、ゾンビ化を拒否している。僕も母親も、いつも側にいるのに噛みつけない。甘噛みならしたことがあるけれど、それだとゾンビ化はしないんだ。

 誰かをゾンビ化させるには、条件がある。空気に触れてない血液を、直接血管に送り込まなくてはならない。

 そのためには、噛むのが効率的だ。僕たちゾンビの歯には、穴が開いている。元々開いている穴を利用しているんだけれど、衝撃を与えると、血が吹き出すように変化している。そのためいつでも新鮮な血液を体内に注入できる。

 殴られたり蹴られたりすると大袈裟に血を吹き出すのはこのせいなんだ。自らの意思ですることはないけれど、歯を食いしばっても大量の血が吹き出てくる。

 僕も母親も、どうしても父親を噛むことができない。どんなにお腹が空いていても、父親を傷つけることはできない。この歯が、食い込んでいかない。無意識の制御が働く。気が狂いそうになっても、甘噛みで止まってしまう。世界中のゾンビ化は意外と難しい。

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