表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

第7話




「何だ、これは。」



「さながら外国に来た気分です〜。あ、外国っていう表現もあながち間違いは無いか。」



「俺が言いたいのはそういう事では無い。」




街の入口が見える位置であり、他の人に見られぬ位置取りで転移した。入口に向かい、近づくとお互い別に感想を好きに言っていた。




「身分証を見せろ。」




ぐるりと塀で囲まれていて、街へ入るために兵士の一人にそう声を掛けられる。その言葉にビクリと反応をしてしまう。その反応を見逃す訳もなく兵士は訝しむ様子を見せ始め焦りが襲ってくる。




「ごめんなさいっ。身分証は森を歩いてきた時に落としちゃったんです。僕は初めて一緒に来たから持ってないの。ね、お姉ちゃん?」



「え、はい。そうなんです、すみません。」



「.........。」



「これ以上お姉ちゃんを攻めないで。僕が悪いんだ。興味に惹かれてウロウロとしちゃったから。」




わざと大きな声で言ったのだろう。後ろに並んでいた人達が同情の目を向けており、兵士たちに睨みをきかせている。後押しを更に欲しいのかシエルは泣こうとしている。




「ま、待ってくれ。今仮の身分証を発行する。この水晶にだけ触ってくれれば問題ない。一応犯罪等しているかの確認の為の水晶だ。」



「分かったよ、ありがとう、兵士さん。」



「ありがとうございます。ご迷惑お掛けしました。」




そう言って仮の身分証として小さな木片を渡される。曰くその木片はそれぞれの固有の魔力パターンがあるから仮でもきちんとした身分証になり得るそうだ。




「無事入れたな。」



「......っ、.......っ。」



「どうした?」



「いや、面白くって。お姉ちゃん、僕、ブフゥ。」



「何だ、エノは彼処で疑われて牢獄入りしたかったのか。分からなくてすまない。今から戻って実は大罪を侵したとでも言ってこよう。」



「やめてくださいぃぃー。忘れます、忘れますからー。」



「そもそもエノ、お前が怪しい反応をせずに嘘を言えばあんなことしなくて済んだんだぞ。貸し一個だからな。」




確かに身分証が無いというだけで怪しいのに、びくつくもんだから更に勘繰られるだろう。自分の行動に反省してから、改めて街の中を眺める。




「混ざってますね。」



「魔族7割、亜人族1割、人族2割ってとこか。」



「見た目で分かりやすいといいんですけど、魔族の方って人の形に近い人多いですよね。」



「まあ、先祖は人間と意思ある魔物のハーフだとか、魔物から意志ある形が生まれただとか色々と諸説有るからなあ。こればっかりは俺の年数で語ることは出来ないな。」




歩きながらそんな会話をする。屋台などが立ち並ぶためかそれなりに人通りが多く、活気づいている。




「シエル。」



「何だ?」



「人酔いしました。」



「は?」




気分が悪くなり急いで道端に避けるよう腕を引かれる。今は少し目眩と吐き気がしただけだが何度も経験した事で分かる。その状態で無理を通した結果更に悪化した事があるのだ。




「苦手なら言ってくれれば人が少ないような所を歩いたんだが。この道が近そうで歩いていた。」



「いえ、シエルのせいでは有りません。私が弱いだけで。」



「まあ、いい。少し休めば大丈夫だろう? 歩けるようになったら別の道から向かうからいい。」



「私そもそも何処へ向かっているか分からないんですけど。」



「ああ、言ってなかったか。身分証を持つのにも素材を売るのもいい場所だ。昔と仕組みが変わってないと良いのだが。」




幾ばくかの休憩の後、人通りが少なめの所を通り十数分歩いたところで目的地に着いたようで立ち止まる。




「此処だ。」



「此処は、『冒険者の集会(ギルド)』ですか。」



「ああ。中に入るぞ。」











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ