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第3話




「全く何故俺が小娘の介抱をしなきゃいけないんだ。」




何やらブツブツと文句か何かを言っている男の声が聞こえる。段々と意識がはっきりとしてきてゆっくり目を開けると此方を見ている者と目が合う。




「おい、起きれるか?」



「...........。」



「聞こえているのか?」



「誰、でしょうか?」



「はあ、忘れたのか?」




今私の目の前にいるのは澄んだ銀の短髪に灰色と紅色のオッドアイをしている男の子。男の子に見覚えは無いはずなので起き上がった後に首を傾げるとまた溜息を吐かれ、困った様に頭をガシガシと掻いている。その子供らしくない行動にキョトンとする。




「封印が解かれた反動なのかこんなみすぼらしい姿になったのだ。行動が制限されるし、歩くのも歩幅が違うせいで時間がかかるしで嫌な事ばかりだ。唯一力だけはそのまま残ったのが救いかもしれないが。」




そう悪態を吐き舌打ちをする先程の長髪の男性改めて男の子は封印の反動としてこうなってしまったらしい。私の身長が160センチくらいなので大体彼は140かそこらくらいだろう。先程は180以上はあったように思う。




「ところで何時までそうやって居るつもりだ。俺に縋るのは此処までだ。やれることは自分でやってくれ。いくらお前が俺の『共鳴者』でも手伝う義理も義務も無いんだ、こっちには。」



「その『共鳴者』とかもそうだけど、私は貴方の存在もよく分からない。一応意識が戻るまで見てくれたんでしょうが分からないことには感謝も手伝いも出来ません。」



「.......別にやらなくてもいいけど。死ぬのは勝手にしてくれ。俺を巻き込まないでくれ。」



「言わせておけばっ、このクソガキっ!!」




下手に出てた言葉遣いは何処へやらあまりにもな言い方に感情のまま、言葉を発すると彼はカチンと来たようで青筋を浮かべて私に迫る。




「ガキとは言ってくれるな。これでもお前なんかより遥かに長く生きているんだ。言葉は選ぶんだな。」



「自分の外見見てそんな言葉が出るなんて驚きだよっ!」



「はあ。」




彼は溜息をついただけ。そうついただった筈だが瞬間威圧感が周囲に巡る。何も言うことを許されない。そんな感じたことがないプレッシャーが襲い掛かりガクガクと震えが襲ってくる。




「だから言っただろう? 不用意に波風を立てぬ事だ。見た目こそ子供だが力はお前以上だと思え。」



「......っ。」



「お前が『共鳴者』で俺の力を取り戻す足掛かりなのは紛れもない事実だ。実際封印はこうして解かれた訳だしな。先程も言ったが、生きる為のあれこれまでする義務は俺には無い。人の生死など興味も無いしな。死ぬ奴は勝手に死ぬ。」




冷たく一蹴された。その言葉、いや会話一つ一つを思い出し自然と涙が溢れてくる。




「っ、何故泣くのだ。」



「何でも無いです。置いていって貰って良いですのでご自由にしてください。」




鼻声で言って俯く。だから彼が面倒そうで困惑した顔を見せたことには気付かなかった。




「あー、その、何だ? 別に俺はお前を殺したい訳じゃないし俺には無理な話なんだ。それに、だ。今の状態でお前は餓死でも死ぬことは出来ない。」



「?」




鼻を啜りながら首を傾げると座り込んでいた私に視線を合わせる。そして最初から何処にあったのか知っていたかのような手つきで私の召喚当時のままの制服姿に驚きもせずスカートのポケットに手を突っ込み入っていたものを取り出す。




「ちょ、?!」



「何だ?」




取り出したのはステータスプレート。何が悪いのか知らない様子でそれを私に差し出して見ろと目で促す。




「今更何を?」




そう言って思わず息を飲み、目を見開く。






佐螺季 絵乃 異世界人

17歳 職:賢者 ランク:G

レベル:1

HP:3,500/3,500

MP:5,250/5,250

ステータス

STR:D-

VIT:D-

DEX:D+

AGI:D-

INT:B+

LUK:A-

スキル:

隠密Ⅱ 索敵Ⅱ 分析Ⅲ 鑑定Ⅲ 剣術Ⅰ 火魔法Ⅰ 水魔法Ⅰ 氷魔法Ⅰ 風魔法Ⅰ 土魔法Ⅰ 闇魔法Ⅰ 光魔法Ⅰ 異空間収納Ⅴ 危機察知Ⅱ

技能:

言語翻訳 成長率増加 不死

称号:

異世界人 共鳴者(魔) 魔剣保持者






「......。」



「その様子だと元は相当低いステータスだったようだ。因みにだが。」




ひょいと私からステータスプレートを取り上げる。あ、と声を上げる暇なく、




「こんなものお前には必要ない。」



「!!?」




驚きで声も出ない。私のステータスが書かれている1枚しかないプレートを消滅させた。そう消滅。二度と自分の力量を見れないというハードモードにさせられた。




「何をっ!!」



「言った通り要らないから、だ。先程自分のステータスを見た時に分析スキルがあっただろう? あれがあれば自分のも何時でも見れるし相手のも見ることができる。だから必要ないんだ。試しに俺にでも使ってみると良い。」



「どうやって?」



「魔力を操作出来れば苦は無い......、ああ、ここの住人では無かったのだったな。」



「......不用意でした。」



「そう敵視するな。俺は今、気分が良い。少し教えてやろう。」




不機嫌だった彼がどういった経緯で気分が良くなったかを知る由もなく、話は進む。私に近付いて来ると手を握られる。抗議の声を上げようとすると目線だけで威圧され黙らざる負えなかった。




「先ず魔力というのはこの世界にいる、招かれた者さえも与えられる絶対的な物だ。だから、MPの値が近接職で魔法を発動させる必要性が無い武闘家等でさえも少なからず持っている。ただ放出させることが無いだけで自身の強化に魔法や魔術として、ではなく魔力を使用するからだ。」



「???」



「そもそも魔力は魔力槽という内蔵器とは違う視認出来ない臓器がある、とでも思えば想像しやすいだろう。それは心臓の近くに有るんじゃないかという仮説が多い。あながち間違いでも無いのが中々矛盾して一生分からぬ課題と言われているが.....。っと話が脱線したが血液と共に身体中を巡らせているからという考えれば想像は付くだろうか。」



「目に見えない魔力槽?って言うのからどうやって血液と共に巡らせるように出来るんですか?」




傍から見れば(周りに人など居ないが)中々な光景ではある。明らかに自分より小さい男の子に敬語で喋り、その男の子はタメ口なのだから。それに気付くことなく話は進んでいく。




「言葉足らずだったか。あくまで他人には視認出来ない。集中すると自分の内に確かにあると分かるし見ることが出来る。この世界に生まれた時にそれを本能的に感じ無意識で魔力を使えるというのがこの世界での常識だ。」



「それじゃあ、私はどうやって?」



「俺が強制的に錠を外す。」



「でも他人からは見えないんじゃ?」



「そんなヒト如きが立てた常識に俺が当てはまってたまるか。」



「言ったの貴方ですけど。」




的確な指摘は無視され彼は目を瞑る。シンと静寂になったと思ったら次の瞬間じわっと体の内側に何か温かいものを感じた。それは段々と大きくなりこれが魔力というものだというのを悟った。




「これがそう、なんですね。」



「それで問題なくスキルを使うことが出来る筈だ。分析スキルで試してみると良いな。使いたいスキルを頭に意識して目を凝らす。魔力を操作しなければならないとかは無い故、難しく考えるな。」




手を離されてから呆けていたがハッと我に返り先程言われた分析スキルを発動させるために言われた通りに念じてみる。




「むむー。」



「.......。」




じっと目を凝らしていると目の前にゲームとかでよく見る様なウィンドウ表示が出る。




「わっ!?」




声を上げたのに対してふっと鼻で笑われたが出来た喜びが大きく、怒るという行動は出なかった。






シエル=ガラファ・デリュカン・ミカエル 上位魔族、神族

23歳(1068歳) 職:死神 ランク:SSS

レベル:834

HP:1,288,298/3,005,861

MP:9,980,345/9,987,264

ステータス

STR:SS+

VIT:S+

DEX:SS+

AGI:SSS+

INT:SSS+

LUK:S-

スキル:

隠密Ⅹ 気配遮断Ⅹ 魔力遮断Ⅹ 索敵Ⅹ 広範囲索敵Ⅸ 分析Ⅹ 鑑定Ⅹ 詳細分析Ⅹ 偽装Ⅹ 剣術Ⅹ 大剣術Ⅹ 細剣術Ⅴ 刀術Ⅲ 短剣術Ⅹ 短刀術IV 刀剣術Ⅲ 斧術Ⅵ 鞭術Ⅰ 鎌術Ⅹ 大鎌術Ⅹ 弓術Ⅹ 短弓術Ⅸ 長弓術Ⅸ 盾術Ⅱ 武術Ⅹ 拳闘術Ⅴ 体術Ⅹ 火魔法Ⅹ 火炎魔法Ⅹ 極炎魔法Ⅸ 水魔法Ⅹ 激流魔法Ⅹ 極水魔法Ⅷ 氷魔法Ⅹ 氷結魔法Ⅹ 極氷魔法Ⅹ 風魔法Ⅹ 暴風魔法Ⅹ 極風魔法Ⅴ 土魔法Ⅹ 凍土魔法Ⅹ 極土魔法Ⅱ 闇魔法Ⅹ 深淵魔法Ⅹ 幻影魔法Ⅹ 光魔法Ⅹ 極光魔法Ⅸ 回復魔法Ⅹ 空間魔法Ⅹ 時空魔法Ⅹ 異空間収納Ⅹ 危機察知Ⅹ 魔力察知Ⅹ

技能:

限界突破 魔力増強 魔力譲渡 詠唱破棄 鑑定眼 魔眼 飛行 不老不死 威圧

称号:

竜殺し 悪魔殺し 殺戮者 限界を超えし者 魔を極めし者 剣聖 魔王 超越者 断罪の処刑人 死神 ミカエル 神殺し






「名前と年齢位しか見えないんですが。」



「当たり前だ。分析Ⅲではそのようなものだ。とは言えレベル差も有るだろうがな。少しばかりだがお前にはステータスを開示しても良いだろう。」



「いいえ。」



「何だと?」



「自分の力を身に付けてそれで正々堂々見てやります。」



「そうか。では楽しみに待っていよう。」




張り詰めていた緊張が漸く解け、腹の虫がなる。恥ずかしくなり顔が真っ赤になるのが分かる。そんな私の思いを意に介さず彼は言葉を発する。




()()、これからどうしたいか考えているか?」



「これから、ですか。悩んでます、正直なところ。この世界のこと分からないですし。」



「俺も久しいから立場的には同じだ。それでは直ぐ出来ることでしたいことも無いか?」



「どうしてそこまでしてくれるんですか?」



「人生長く生きていると暇なのだ。だから気紛れだ、ただの。俺はしたいようにするだけだ。」



「では一つ。今直ぐにしたい事が。」



「何だ?」



「お腹が空いたので何か食べたいです。」




彼はキョトンとした表情をして私の斜め上の予想外解答を処理して理解した頃には彼は大笑いする。




「クックック。エノ、お前は面白い。中々に憂鬱な思いをせずに過ごせそうだ。」



「ガラファさん、こんな私で良ければ答えを出せるその時まではご教授ください。」



「シエルで良い。さん付けも要らん。」



「.......シエル、よろしくお願いします。」



「ああ。」











【シエルのステータスについて】


シエル自身は全ての情報を見えることが出来ます。自分のなので当たり前ですが。

絵乃にはシエルのフルネームと年齢、括弧書きの部分のみ見る事が出来ています。が、それだけでも割と情報量が多いので絵乃は割とパニクっていたりします。


分析スキルでシエルの少し情報を知る。

名前と年齢しか見れないが割りと凄そうな情報が見える。

ウィンドウ表示を眺めて固まっていた。

我に返り見えている情報を伝える。


という感じです。

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