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他人に危害を及ぼすとき、何故に自分は死なないと思うのだろうか?

(お兄ぃに、血が!?)


 異変に気が付いたのは、3日前だ。お兄ぃは、転んだだけと言うが、間違いなく殴られた傷跡だ。お兄ぃを尾行するぐらい、元盗賊の隠密テクニックがあれば、造作もないことだ。


 父親の仕事を手伝い終えると、いつものように、子供たちが集まる広場に行く。私も何度か誘われたのだけれども、今更、子供同士の遊びに付き合ってはいられなかったため断っていた。


「何だよ、今日もセーラを連れて来られなかったのかよ!?」

「セビルスも物好きですね。あんな不気味な女の何処が良いのか…」

「おい。ルーカス。セーラは不気味なんかじゃないっ!!」

「何だ? やるのかよ、ラーク? いつでもかかって来いよ」

「二人共黙れ。まずはラークの代わりに、俺が…ルーカスをぶっ飛ばす。セーラは不気味なんかじゃねぇんだよ!!」


 一番体の大きいセブルスが、私の事を侮辱したルーカスを殴りつけた。


「次は、お前だよ。ラーク。一体、いつになったら、セーラを連れてくるんだよ!?」


 ラークを殴りつけた瞬間に、セブルスの死は確定した。


 殺す方法など幾らでも思いつくが、今回は街で暮らし続けるという条件がある。あくまでも事故死に見せ掛けなければならない。


 殺害場所の選定から始める。日頃行き慣れた場所に決定した。場所が決まれば凶器も決まる。万が一を考えたシナリオを実行するには、多少の準備が必要だ。


 一番の問題は、どうやってセブルスを誘き出すかだ。まずはセブルスの行動パターンを確認するところから始めよう。


 昨日と同じように広場に行く。私は、広場を見下ろせる建物の屋根によじ登ると、身を屈め様子を伺う。すると、お兄ぃが…当然のようにいじめられている。今すぐ飛び出して、首の動脈を斬り裂いてやりたい衝動を、ぐっと堪える。


 しかし、お兄ぃは、何故にいじめられるのが理解っていて、広場に行くのだろうか?


 調査をしていてわかったこと。暴れ者のセブルスは、統率力だけはあるようだ。やがて、日が傾き始めると、お兄ぃが帰り、他の子たちも家路に就く。セブルスは、最後まで残った子供たちと共に歩き始めた。それを尾行する…。


 なるほど…セブルスは、孤児院の孤児だったか…。となると、一人になる時がないため、誘き出すのが難しくなるな…。ならば、まとめて殺すか? いや…。う〜ん…。


 悩んでいると、なんとセブルスが、孤児院から出てきた!? 慌てて建物の影に隠れる。よし、尾行するか…。セブルスは、孤児院の夕食のために、余った材料や残飯を飲食店や個人の家から集めているらしい。意外と働き者ではないか。


 どうにか突破口を見つけた私は、お兄ぃの待つ家に戻ることにした。家の前では、お兄ぃが心配して出迎えてくれたのだ。


「おにぃ!」[お兄ぃ!]

「もう…。心配させないでおくれよ」


 その夜、ベッドの中で考える。未だにターゲットを思い出すことも出来ない。ならば、復讐を諦め、普通に生きるという選択肢もあるのではないのかと…。いや、今回は、復讐だけではなく、王族の隠し子として、何やら…陰謀やら事件やらに、既に巻き込まれているではないか!?


 そうなのだ。忘れてはいけない。力が全てだと…。弱さは罪なのだと…。


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