神具
「こんにちは。私達のクラスには、女子が少ないみたいなの。仲良くしましょう?」
外套のフードを脱ぎ、こちらも簡単に挨拶する。ナチュラルボブの銀髪とマットシルバーの瞳を晒す。その凛とした輪郭は、何故か、冷たく死を連想させるため、話しかけてきた女子たちは、目を見開いた。
効率よく魂を収集するため、私は…事前に考えておいた架空の人物を演じる。
「はじめまして。私はセーラ。小国ホースティンから来た宝石職人の娘です」
その指に注目が集まる。小さなラピスラズリがはめ込まれた指輪だ。
「これは…練習で作った指輪です。まだまだ駄作ですが…」
私の正体が、田舎工房の娘だとはっきりしたためか、安心した女子たちとの会話が盛り上がった。
偶然にも入学式前に学園に潜り込めたセーラだが、周囲も同じように今期からの入学者ばかりで、革命とはかけ離れた夢や希望に満ちた瞳を輝かせていた。
入学式を終え、クラス毎にオリエンテーションを行い解散した。セーラは購買部で必用な教材を買い漁ると、これから生活の拠点となる寮へ向かう。
油断してつもりはなかったが、背中に刃物を突きつけられる。
この感じ…。
「死の標的の一人、【共鳴の槍】のマナ?」
「正解だけど。あれだけボコボコにしたのに、また訓練されたいの? 泣きながら『殺して〜』と叫ばしてやろうか? お前、簡単に背後取られすぎ。気を抜きすぎだ」
「ごめんなさい…」
「次はないからな」
「はい…」
「で、お前さ。何してんの?」
「何…とは?」
「もう宝玉に魂は十分すぎるほど集まってるだろ?」
「えっ…」
「お前はしっかり者の皮を被った馬鹿だ。一度、神具を取りに戻るぞ」
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小さな小国ホースティンにある人里離れた切り立った断崖、そこに掘られた洞窟を抜けると、巨大な空間が広がる。その中に建造された古城こそが、死の標的の本拠地だ。
本拠地に戻ると、神具は簡単に手に入った。結局大変なのは、宝玉を取得するための厳しい訓練の方だった。
セーラの手にした神具は、なんと3つだ。掌の上に浮かんだ大中小の3つのリングは、正義と規則を遵守するアリーナの魂、破壊と混沌を愛するセーラの魂、慈悲と慈愛を信じるフェリの魂に紐づく神具だ。
神具得たセーラは、5人の最高幹部に呼び出された。その中でも、正義と規則を遵守するアリーナの魂の父親であるライライブは、セーラを苦々しく睨んでいた。
「お久しぶりです、お父様。セーラの魂を滅することは出来ませんでしたが、アリーナの魂は、この肉体に宿っております」
「おぉ…。まことにアリーナなのか…」
「はい。今は、他の二人の許しを得て表に出ておりますが、通常は…三人で作り上げた中間的な魂がセーラの肉体を動かしています」




