表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/44

さらなる一手

 破壊と混沌を愛するセーラの魂と、正義と規則を遵守するアリーナの魂。二つの魂が出会った時、どちらが基本になるよりは、もう一つ空の魂を用意して、二つの魂から折半した魂をブレンドさせた中間的な魂に肉体を運用させることになった。


 そして、また一つ。慈悲と慈愛を信じるフェリの魂が、中間的な魂に混じり合う。


 この中間的な魂は、時と場合によって、セーラかアリーナに強く影響してしまうことがある。それを見た第三者は酷く混乱するのだが、フェリが混じったことで…その傾向が強くなった。


「ご覧の通り、ナーブール村を人外に襲わせて壊滅させました。昼とは言え、物陰や建屋の中に隠れる人外に注意してくださいね。それと、もしも村人が生存していた場合ですが、好き勝手やった後は必ず殺してくださいね」


 別れる前のアホ毛で癇癪を起こし小隊内を恐怖のドン底に落とした人物とは思えないほど、ニコニコと丁寧な口調でトンデモ発言をするセーラ小隊長。


 流石のセーラ小隊長も、無抵抗な村人を蹂躙したことで、良心の呵責に耐えかね気が触れてしまったのかと、考えたアモット分隊長は正直ほっとしていた。しかし、何を馬鹿なことを考えているのだと思い直し、セーラ小隊長を支えねばと心に決めた。


 現在の個性は戦場に不向きであると判断したセーラとアリーナはフェリを説得する形で魂をチューニングすることにした。その作業は難航して、翌日の昼間でかかってしまった。


「前哨基地に伝令を出せ!」「敵兵と村人の遺体を埋める穴を急がせろ! 報告書に人数を記載せねばならん。一応、数えておけ」「食料は一箇所に集めろ! 保存可能な食料を一部持ち出し、南にある洞窟へ隠せ!」「ナルガック砦方面への移動経路の確保、村の周囲からの撤退経路の確認も忘れるな!」


 正気に戻ったセーラ小隊長は、次々と命令を出し、部下たちを馬車馬のように働かせる。


***** ***** ***** ***** ***** 


「馬鹿な…。ナーブール村を落とした…だと!?」


 伝令からの報告を聞いた前哨基地の最高責任者であるマーク中隊長は言葉を失う。ナーブール村には少なく見積もっても1個師団の兵が常駐していたはずだ。詳しい状況を把握するためにセーラ小隊長の書き上げた丁寧な報告書を読む。


「人外だと!? そんなことが可能なのか…」


 マーク中隊長の判断は早い。というよりも、セーラ小隊長の予測するシナリオに従っただけだ。


 占拠したナーブール村に師団クラスの兵を派遣させるように前線へ伝令を出す。ナーブール村には師団クラスの兵を半年ほど常駐可能な食料があるのだ。戦略的にもナーブール村から進軍すれば敵陣の真横を付くことも、前線を押し上げることも、敵の重要拠点であるナルガック砦も強襲することも可能なのだ。どのプランを実行するかは本体次第だが、一つ言えることは…前哨基地がゴミのように捨てられることがなくなったのだ。


 そして、マーク中隊長には新たね懸念が生じる。あの娘は危険だ…と。しかし、テーブルに置かれた『調査レポート:セーラ』に目をやる。個としても集団としても優秀なあの娘を殺すことが可能なのか? 駄目だ。こちらの思考を見透かすような…あの瞳は殺意を正確に捉えるだろう。何とか再開する前に殺せないだろうか? 


 マーク中隊長は、専用天幕内に報告しに来たセーラ小隊長の部下がいることも忘れ、不穏な計画に思いを巡らしていた。その様子をジッと静かに見つめたいた伝令は、セーラ小隊長の予想した通りの展開に驚く。


(まさか俺が上官殺しをするはめになるとは…)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ