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小隊長の初日

 定点監視のために3日ほど、崖に掘った横穴で過ごしていた分隊の士気は、それほど落ち込んでいなかった。自分たちより年下の女の子が、泣き言も言わずに、鳥を狩り山菜を採取して、美味しし食事と提供したり、横穴から漏れない程度の声で歌を歌い楽しませていたのだ。それも、上官であるにも関わらず…にだ。


 その日の夕方。稀代の大盗賊・青影のニルから直接教わった索敵の技術。森林の動物の気配や、匂い、遠くの音を聞くための道具を駆使して、セーラは誰よりも早く敵の存在に気が付く。分隊長自ら偵察に出るのは問題があるが、敵に気付かれるわけにも行かない。


 セーラは作戦を練る。


 奇襲後、トラップゾーンに誘い出せば、12名から構成される分隊で、30名の敵軍工作部隊を叩くのは出来なくもないが、あまり戦果を独り占めするのは良くない。ここから約6km南下した地点に、他の定点監視の分隊がいる。共同で迎え撃つのがベストだろう。


「敵だ。最低限の装備で横穴の前に集合。3時間以内にグラフの分隊に合流する」


 横穴に戻ると、直ぐに命令を出す。敵に近いこの場所から、静かに離れ徐々に速度を上げても、高低差が激しく、足場の悪い森林内では、合流に時間がかかってしまう。


(やはり、奇襲後、トラップゾーンで戦うほうが良かったのか?)


 と、そんな事を思い出しながら、分隊の天幕に戻った。


 案の定、太もも以下が吹き飛んだ部下は死んでいた。遺体は既に埋められ、遺品を整理していた。分隊の解散と新小隊の編成を報告する。


「おめでとうございます。セーラ小隊長」と、木の器に入れられた安酒を渡される。


「お前ら、寝ている間に襲うなよ。これでも、まだ生娘なのだからな」


 並大抵の毒ならば免疫があるのだが、どうもアルコールには弱い体質らしいのだ。まぁ、恐らくレイプされても落ち込まないだろうが、勢い余って部下を殺したくないのだ。


「誰がそんな恐ろしいことをしますか!!」

「安心してください。俺が見張ってます」

「まだ死にたくありません」


 意外と、私のことが理解っているなと感心してしまう。私の心には、正義と規則を遵守する魂と破壊と混沌を愛する魂が同居しているのだ。


 安酒を呷ると、一気に体が火照り顔が真っ赤になる。木の器を落とし、ついでに意識も落ちた。


 何故こんな無謀なことをするか? 正義と規則を遵守する魂が、部下の大量死に落ち込んでいるのだ。数時間だけでも忘れさせてやりたいという気持ちと、この体を部下たちに滅茶苦茶に弄んで欲しいと、破壊と混沌を愛する魂が叫んでいるからだ。



 翌朝、軍服を脱がされた私は、朝の寒さに薄い毛布に見を包み丸まっていた。こいつら…私の下着姿を見たな。まぁ、見慣れているであろうから、どうでも良いが。


 部下たちの視線を気にすることもなく、堂々と軍服を着ると、小隊長として、アモット分隊長とバート分隊長に挨拶に行く。その後、小隊の編成、天幕の移動、指揮命令系統や小隊の役割と戦術などを確認する。


 途中、何名か11歳の少女が気に入らないようだったので、「私に勝てば、お前を分隊長に任命し、私は小隊長を辞するとしよう。ただしお前が負ければ、一生奴隷扱いだ」という勝負をして、奴隷を数人確保した。


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