操り人形
「ひれふせ!」[ひれ伏せ!]
全員を土下座状態にさせ、悠々と出口へ向かう。しかし、通路の両脇にひれ伏す盗賊たちに、気分を良くした私は、盗賊アジト内を探索することにした。
(結局、ボスから玩具の人形について何も情報を仕入れることは出来なかった。この玩具の人形について、盗賊のアジト内に何か残っていないかも調べてみたい)
しかし、予想に反して、碌な物がない。なんだか残念な盗賊団だな。師である稀代の大盗賊・青影のニルの大盗賊団と比べたのが間違いなのかも知れないが。
それでも物色を続けた。そして。
「うん? だれでしゅか? いきてましゅか?」[うん? 誰ですか? 生きてますか?]
私と同じように、誘拐された? 少女がいた。緑色の髪はボサボサで、服はボロボロ。私と違って、両手両足を金属の鎖で繋がれていた。まぁ、生きているなら、恩を着せ何かに使えるかと思ったが…。
「た、たすけて…」何と弱々しい声だろう。
盗賊に命令して、少女の鎖を外させる。本当に便利な玩具の人形だ。思わず人形を見つめる。
そのとき、少女が襲い掛かってきた。私が反応するよりも早く、私を床に叩き落とすと、そのままマウントポジションから首を締める。ぐっ…。これは…何とも精度の高い首絞めなのだろう? 気道閉塞、動脈閉塞、静脈閉塞をいつでも可能な位置に手を添えた。私がピクリでも動こうものならば、即、力を入れ締め殺せるように…。
残念だが、ここで私は死ぬ。次、また生まれ変わることが出来たら、こいつを殺そう。感情が死滅した瞳で、首を締める少女の顔を瞳に焼き付ける。
「お前…怖くないのか? 悪い…殺すのは止めだ。手を離すが反撃するなよ」
首から手を離されたが、床に叩きつけられ、マウントポジションで胸を圧迫されていたのだ。3歳児には、それだけでも、かなりのダメージのため、動けずにいた。
「その人形は、返してもらうぞ」
私の左手に握られた玩具の人形を奪われた。
「しかし、どうなっているんだ? 何で、こんな小さな…いや、ただの幼児ではないよな…」
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「なるほどな…。復讐のために、何度も生まれ変わり、今回は王族の隠し子か」
玩具の人形で操られた私は、何の抵抗も出来ずに、洗いざらい全ての情報を渡してしまった。何とも恐ろしい術? なのだろう…。そこらの自白剤などとは比べ物にならない。
「面白い奴だ。気に入ったぞ。王族ということは、いつかお前は、わたしと同じ神具を手に入れるため、自然回帰、操り人形、正導騎士、死の標的、探求結社…つまり五芒星と呼ばれる組織に所属することになる。言っておくが、運命には逆らえないぞ? 無駄な抵抗はやめろ。本当に無駄だからな。
ちなみに、わたしは、操り人形に所属している。わかりやすいだろ? この人形は神具だ。一時的にでも使用者だったのだから、理解できると思うが、常軌を逸した力が手に入る。しかし、本体は脆弱だ。わたしのように捕まることもあれば、普通の人間と同じく殺すことも可能だ。力に溺れたわたしが、馬鹿だった…」




