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41話 夏休み開幕(?)

 修学旅行が終わると、すぐに夏休みとなった。


 零は、去年と同じようにまったりと、ラノベを漁っては読み、ゲームをしてアニメを見て…という生活を送ろうと、半ば機械的に考えていた。


 そして、零と同じではないが、同じようにまったりと過ごそうとしていた人間がいた。


 そう、音宮である。


 基本的に無気力な音宮は、夏休みの間は好きなように絵を描いて音楽を作ったり弾いたりして、だらだらと過ごそうとしていた。


「なんで夏休みになってまでわたしは勉強をしてるんだ~!」


 夢物語であった。


「せっかく宿題も出されずに済んだのに~!」

「宿題が出されないのは、宿題がなくともしっかり勉強すると信用されているからです。勉強をしなくてもいいということではありません」

「優等生がいる~…」

「それに、8月の初めにある東大の模試でA判定を取らないとSクラスから落ちちゃいますよ?」

「う~、耳が痛い~」


 このような事情により音宮は雨宮の号令のもと寮の中にある図書室に集められていた。


「なんで俺まで……」

「零くんはゲームばっかりする生活をしてそうだったので呼びました」


 そして、雨宮の招集は零にまで及んでいた。


「でもあすっちとかいないじゃん、ずるい~」

「飛鳥は陸上の大会で長野に行っているそうなので仕方なく、ですよ」


 大宮はあたかも当然のように、2年生でありながら走高跳と100m走の2種目で、高校の中では一番大きな大会となるインターハイに進出していた。


 ちょうど今は走高跳で高校記録を更新しているところである。


「じゃあれーちゃんは?」

「玲奈さんは一人でもきちんと勉強できる人ですので呼びませんでした」

「ずるい…」

「沙彩も一人で出来るのだったら呼ばなかったのですけど」


 言外に一人ではできないと言われた音宮だったが、的を射ていたので言い返すことはできなかった。


「ああ、折角昨日新しいラノベを仕入れたのに…」

「それは空いた時間に読んでください」

「空いてた時間に予定入れたの誰だよ!?」

「10時まで寝ていたのは誰でしたっけ?」


 この日は、零が10時まで寝ていて、朝ごはんを食べに食堂に来なかったことを高宮から知らされた雨宮が、零の部屋に殴り込みに行ってようやく目を覚ました。仮に雨宮が起こしに行かなかったら零はそれから2時間ほど寝ていただろう。


「こんなの夏休みじゃないよ~」


 と不満を漏らしながらも、さすがは音宮、さすがはSクラス、問題はさらさらと解いている。むしろ不満を言いながら解くことでストレス解消と睡眠対策をしているようにも見える。


「模試が終わったら、たっぷりひきこもってやる…」

「模試が終わったら次は夏休み明けの実力テストに向けてしっかり勉強しますよ」

「雨宮さん? 俺たちの夏休みは?」

「学生の本分は勉強ですから」

「おい音宮…こいつこんなに厳しかったか?」

「今思い出したけどね~、去年もこんな感じだったよ~…」

「それはもう少し早く思い出してくれ…」


「二人ともペンが止まっていますよ。口より手を動かしてください」

「お前は掃除にうるさい小学校の先生か」

「口をホッチキスで留めるので待っててくださいね~」

「針を使わないやつでお願いします…」


 絶対に明日はこの勉強会を回避してやると心に誓った零であった。

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