表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/136

37話 2日目の話

 お好み焼きを腹いっぱい(高宮は病気がちのため、量は少なかったが)食べた零たちは、そのまま大阪の街並みを見て回ることにした。


 通天閣やグリコの見える大通りなど、大阪の有名な各地を転々とするという、零にとっては案外ありきたりな旅行となっていた。


 零は、あの4人の考えることだし、日程がとても奇抜、いや正直滅茶苦茶なものになると思っていたのだが、1日目も清水寺に行ったりとなかなかミーハーなスケジュールになっている。


 余談だが、零が所属する霞北学園のSクラス以外の生徒は、今日は一律で奈良に向かっているらしい。小学生の修学旅行のような日程だが、ある意味では一番無難ともいえる。さすがに高校生なので好奇心でしかせんべいをそこら中にばらまいて鹿に追われる馬鹿はいないと思いたい。あれも一つの醍醐味だが。


 何はともあれ、零たちは何事もなく、ただ普通に大阪を散策した。零は高宮の脅威に常に震えながら、それでもみんなが笑って子供のようにはしゃいでいるのを見てどこか心が温まるのを感じていた。


 周囲からの「なんだあいつ」「お前そこ代われ」「やっぱイケメンが正義か」などの冷たい男の視線や「なにあの人かっこいい」「写真撮っちゃお~」「やっぱり男は顔だわ」などの女性の熱烈な視線には一切反応をしなかった。


 ただ途中で


「零さん、私たちにも、大阪のおばさま方にもおモテになりますわね」


 と超皮肉交じりに言われたときは、いくら相手がお嬢様であれ、手を上げそうになったのはなかったことにしておこう。


 そんなどうでもいい、言い方を変えれば当たり障りのない修学旅行を送ってきた零たちだが、2日目の夜、この旅行史上最大の事件が起きた。


 犯人はもちろん高宮。被害者はもちろん零。


 高宮以外の3人に聞かされていた高宮の予定は、7時から一時間、零と一緒に夜ご飯が食べたいので部屋を使わせてほしいということであった。


 素直で疑うことを知らない純情な少女である雨宮はこの話に対して、「わかりました」と言い、大宮は「そっか~それもよかったな~」と後悔し、音宮はなんか嫌な予感がしていたが高宮が恐ろしかったため何も口に出さなかった。


 そして、その予定を聞いた零も、「案外シンプルだな。真夜中とかの時間を取られるかと思った」などとすっかり安心しきっていた。


 だが相手は高宮。4人の中で一番賢い、いや、ずる賢い、頭が切れる女。


 そして、零のことをよく知っており、なおかつ零に惚れている女。


 何が何でも自分の彼氏、いや夫にすらしようとしている女。


 一緒に夕食を食べるなどというありきたりなことをするはずがない。そんなことでは圧倒的美貌と頭脳明晰な雨宮や、運動抜群で完璧なスタイルを持つ大宮に勝てるはずがない。


 大宮は高宮の目から、いや誰からの目からも明らかなまでに零のことが好きだし、雨宮もまだ自覚していないだけで確実に恋心は芽生えており、すでにその大きさは他の誰にも負けていないかもしれない。


 高宮は彼女たちがさらに力をつけて脅威となる前に零を惚れさせたい。


 そこで選んだのが警戒心がそこまで生まれない午後の7時という時間。そして夕食と言う世間体の良い言い訳。


 それでは犯行の一部始終を見ていこう。

ジャンル別日間ランキング3位ありがとうございます!

これほどいい順位になれたのは読んでくださる皆さんのおかげです。

本当にありがとうございます。

これからも引き続き長い目でよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ