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32話 観光

「ここが飛び降りで有名な清水寺ですよ」

「もう少しましな紹介をしてくれ高宮…。観光にきてるんだから」

「なんでも、一心に祈って飛び降りると、命が助かるだけではなく、願いも叶うらしいです」

「あざやかな無視だな」


 清水寺に到着した零たちは5人で周っていた。周りを見ると観光客と思われるたくさんの外国人がいて、そういったところからも修学旅行気分が味わえる。


「それにしても人が多いね~。はぐれちゃいそうだよ」

「一番心配なのは大宮じゃなくて音宮だけどな」


 ちらと大宮の隣に目をやってみると、早くも人ごみに酔ったのかバテバテの音宮が視界に映る。


「沙彩、大丈夫?休憩しようか?」

「だ、大丈夫…。ひさしぶりの人混みにちょっと当てられちゃってるだけだよ…」


 雨宮が心配した様子で音宮の背中をさすっている。


「ここから飛び降りたらどうです?人混みも避けられるし、願いも叶うで一石二鳥じゃないですか。ね?沙彩さん?」

「お前はいつまで根に持っているんだ……」


 高宮はいまだに、音宮が期末テストの社会で満点が取れなかったことを許していないようで、こんなブラックジョークをことあるごとに言っている。


「まあ時間もちょうどいいし。これから昼ご飯にでもするか。なんかいい店知らないか?」

「あ、それなら」と言って雨宮がごそごそとカバンをいじる。そこから出てきたのはタブレット型の携帯電話だ。


「この近くにとてもおいしいと評判のうなぎ屋さんがあるらしいので予約しておきました」


 そう言いながら携帯の画面を見せてくる。中を覗き込むとそこに見えるのはそのうなぎ屋と思われる店のホームページ。そこにはひつまぶしやうな重などのメニューとその値段が載っていた。


「うげ…。この店高くないか?すごくうなぎはおいしそうだけど…」


 さすがに昼ご飯に5千円もかけるとは思っていなかった。零は頭の中で財布と相談(というよりは財布に土下座)しながらしょうがないかと腹をくくった。


「そんなにお手持ちが少ないのですか?私が払って差し上げてもよろしいですよ…?」


 すごく嬉しそうに提案をしてくる高宮だが、嫌な予感しかしないので、「いやさすがに払うわ」と言って全力で断った。


「ここで払ってさらに好感度アップ…。あわよくばこれを貸しにしていつか利用しようと思いましたのに…」なんてブツブツつぶやいている様子からして、自分の判断は正しかったようだと改めて安堵した。


 そうして20分くらい歩いたところにお目当てのうなぎ屋があった。


「いらっしゃいま、せ~…」


 入ってすぐ、和服を着た女性が零たちを見た瞬間に動揺した。


「ご、五名様でよろしかったでしょうか…?」


 しかし、慌てるのも無理がない。入ってきたのは誰からも注意を惹くような美少女4人に、彼女たちを従えるかのように一人のイケメン(中身はオタク)が入ってきたのだから。


「奥のお座敷の方に案内させていただきますね…」


 だが、もちろん零も店員さんの気持ちはわかる。困惑するだろうし、いろいろな疑問も浮かんでくるだろう。なぜこんな美少女4にんを引き連れて…いやその前にどういう関係!?みたいなことを考えているのはよくわかる。


 だがクラスメイトですので落ち着いてくださいと言ってもすぐに納得できるようなものではないだろうと、そう思った零は、特に何も言わず店員の痛い視線を一手に受け続けた。、



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