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24話 5人の勉強会

 夕食にて…


「零くーん、今日は私も勉強会に参加していいかな?」

「あ、ああ…俺は別に構わないが…」俺は目線を雨宮の方に向ける。


「わ、私は反対です!前に飛鳥が来たときは勉強どころじゃなくなりましたし…大体、飛鳥は勉強する気なんてないでしょ!」

「そんなことないよ~私も勉強しなきゃ、だからね~私もやるときはやりますよっ!」

「そ、そうですか…じゃあ今日のところは3人ですることにしましょうか」

「わーい!」


 どうやら今日は3人でやることになったよう…


「面白そうなことをしていますね。私も参加してよろしいでしょうか?」


 最近は悩みごとが多い。その一つがこの女の存在だ。


「れ、玲奈さんも参加するのですか…?」

「そうです、私も零さんのような人と勉強をしてみたいのです。零さんや京華さんのようなとても頭のいい人と勉強できるなどという機会、逃すわけにはいかないです。ですよね、沙彩さん?」

「あ~私は勉強したくないんだけどな~たしかにそんなこと言われたら行くしかないな~」


 嫌々みたいな発言とは裏腹にとても嬉しそうな顔だ。高宮と一緒で。対照的に雨宮と大宮はダメージを受けた顔をしているが、そんなに大人数は嫌だろうか。


「別にいいんじゃないか?人数が多ければもし俺がわからない問題に出会った時も教えてくれる人ができるしな」

「零さんにわからない問題などないと思いますけど」

「そんなに過大評価されても困る。俺は完璧じゃない」

「でも、零くん今までに私が聞いた問題で答えられなかった問題なかったですよね」

「それは、たまたまだ」

「京華ちゃんの分からないほどの問題をたまたまで解ける人なんていないけどね?」


 どうしても彼女たちは俺のことを完璧人間にしたいようだ。俺にだって出来ないことはあるのに…。


「じゃあ5人でやるなら俺の部屋じゃ狭いからな、別の場所にしよう」

「それなら図書室の小さい談話できる個室スペースしにしよ~よ~あそこなら教えあうこともできるよ~」

「そうなのか、じゃあそこにしようか」

「決まりですね。それでは各自自分の部屋に戻って準備をしてすぐに集まりましょうか」

「おーけー!」


 こうして今日の勉強会の段取りが済んだ。




 談話室に入って自分の場所を確保して、各々自分の持ってきた参考書を机の上に出す。


 さすがSクラス。出てくる参考書はどれも2年生で扱うような代物ではなくて、3年の受験前にやるような参考書ばっかりだ。


「ところで雨宮はわかるけど、なんで急にお前らまで勉強会に参加しようと思ったんだ?」

「楽しそうだからに決まってるじゃん!三角関係の修羅場みた…」

「えーと、もうすぐ模試があるからなんだよね~」大宮が音宮の会話を途中で遮って喋る。


「模試なんてこんな時期にあったか?」

「Sクラスになると、この時期に3年が受ける模試を一緒に受けることになるんだよ!ちなみに偏差値70超えないとSクラスから落ちちゃうから気を付けてね?」

「は?70以上?3年が受けるような模試で?」

「はい。まあ、3年と言っても別に東大を受ける人の集まりというわけではありませんから、70は超えると思いますよ?」

「お前らは1年から70超えてたってことなのか?」

「そうですよ?」


 やっぱりここにいるメンツはAクラス以下のやつとは別格だな。次元が違うぞ。こいつら普通にバケモンだ。


「あの花田ってやつは?」

「ああ、彼は毎回模試のたびにSクラスから落ちて、中間テストや期末テストで復帰していましたよ」

「そうか……」


 なんかかわいそう花田。お前は普通に優等生だぞ。こいつらが別格なだけなんだ。


「京華ちゃんなんて1年の時からトップ10に入ってたよね?今年の最初の模試は生徒会長に続いて2位だったっけ?」

「一応そうですね…それでもまだまだですけど…」

「おい…本当にお前は2年か…」

「それに勝っちゃう零さんはそれ以上の化け物ですけどね」

「だからたまたまだって」


 本当にこいつらは半端ないな…というか雨宮そんなにすごいのにまだ勉強するのかよ…。


「なんで雨宮はそんなに勉強するんだ?今の成績でも入れない大学なんてないだろ?」

「私は飛鳥のように運動ができるわけでもなく、玲奈さんのように天才でもなく、沙彩のように芸術家というわけでもないですから…」

「十分お前もすごいと思うけどな…」

「正直私も今年の模試で2位だったときはさすがに安心して少し気が緩みましたけど、そんなことをしている場合ではなくなりましたので…」


 そう言ってこっちを見てくる。


 雨宮、言いたいことはわかるが、意味がわからん。もしかして、雨宮はすごく負けず嫌いなのか?


「まあねー京華ちゃんの言うこともわかるよ!これだけすごい人が目の前にいるとね…」

「だから俺はすごいやつじゃないから」

「そんな謙遜はいいの!」

「なんで零っちはそんなに謙遜するの?」

「ちょっと待て、音宮。その『零っち』ってなんだ」

「え~だってみんないつの間にか名前呼びしてたから~私もなんかいい感じに呼びたいじゃん~?」

「いい感じに呼ぶってなんだよ…」


 そしてちゃっかり名前呼びにしたことに触れるな…。こっちまで恥ずかしくなるじゃないか。


「――それで、なんで零っちはそんなに勉強とかできるの?」

「それは私も気になります…」

「あたしも……」

「ふふっ…そうですね、気になりますね。そろそろ教えていただけないのですか?あ、もちろん『そんなにできない』はだめです」


「……すまないが言えない…

 ――というか高宮は知っているんじゃないか?」


 高宮以外の3人の視線が高宮に集まる。驚きとともに。


「え…!?玲奈さんは知っているのですか?入江くんの秘密…」


「知ってるんだろう?高宮」

「なぜそう思うのですか?零さん?」

「お前だけ他の奴と反応が違いすぎだ。あれは知っているアピールだろうが。あと、うろちょろしすぎ」

「ふふっ、やっぱり面白い人ですね、零さんは。」

「ったく、詮索するなと言ったのに…」

「やはり調べていることに気が付いていたのですね…」

「それで、言うのか?」

「いいのですか?」

「お前が手に入れた情報だからな…言いたきゃいえばいいさ」

「私は言いふらしたりしませんよ。自分の好奇心で調べただけですから」


 その高宮の目は本当のことを言っている目だ。


「なんだなんだ二人だけで盛り上がって!あたしにも教えてください!」

「私も気になります!」

「わたしも~」


「そうですね…はい…あまり多くは教えられないですね」

「えー、れーちゃんけち~」


「……教えられることがあるとすれば、そうですね。



 ――零さんはあなたたちが思っている以上に化け物(バケモノ)ですよ」



すみません…まだ零くんについては明かせません…

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