22話 事件後
今日は大変な一日だった。
1限が終わった後、雨宮に廊下に呼び出されて、大宮の様子が朝からおかしいから助けてほしいと言われ、急いで情報収集に回った。
雨宮には大宮の悩んでいる理由を具体的に突き止めてもらって、どうやら今朝下駄箱に入っていた手紙の中の内容が原因であるとわかった。そこから、大宮が間接的に関与した恋愛によるものだろうと考え、そういったことがなかったか、音宮が交友関係から当たって、怪しい人物を3人ピックアップできた。
それからはあっという間だった。高宮には3人の家の場所を突き止めてもらって、ウイルスを入れたUSBを音宮に持たせる。
あとは放課後になって音宮に急いで家に行ってもらって、盗撮のデータが消去されたことを確認してから、高宮に監視カメラを切ってもらって屋上で大宮を助ける。
こうやってみるとなかなかすごいことをしたようだが、雨宮も高宮も音宮もすごく優秀で、たくさんのことができるから自分でするべきことは少なかった。最後に体を張るくらいか。
しかし、やはり自分は感情のコントロールが苦手だな。さっきもあと少しであの女子たちを徹底的に攻撃してしまうところだった。あと少しで我を忘れるところだった。2年前のあの時のように…
まあ、何はともあれ一件落着、のはずだが……
「零くーん!お邪魔しま~す!」
――なんだこれは…。
一日が終わって疲れた疲れた、そんなことを考えてベッドで横になって寝ていたら、大宮が急に部屋にやって来た。
てかなんで名前呼びなんだよ。いつからそんなに仲良くなったんだ。
「何しに来たんだお前は…」
「用?用なんかないよ?」
「じゃあ何しに来た」
「れ、零くんに、あ、会いに来たんだよ…」
そう言って大宮は俺の腕に抱きついてきた。座っている俺に対して腕をとって手が大宮のぷにぷにの太ももに、二の腕に2つの果実が接着する。大宮は顔を赤らめて上目でこっちを見てくる。
…なんという破壊力っ!!こんなのを耐えられる男はいるのかっ!?だめだ…俺も本能の中に落ちていく…
「入江くん?入りますよ?」
おーっと、まさかのここで正義の味方ならぬ理性の味方が参上した!?ありがとう雨宮。ありがとう雨宮!お前はやっぱり俺の味方…
「入江くん…何をしているのですか…」
味方…だよな?もう一度。味方…だよな?
「ハレンチなこと、しないでください!?」
――ばちーん――
雨宮…お前だって前におんなじようなことしただろ…。
「きゃー何してるの京華ちゃん!」
「それはこっちのセリフだわ飛鳥!」
「わ、私はただ零くんと仲良くしていただけよ?」
「それにしては近すぎです!」
「じゃあ零くんの頭もーらい!」
大宮は零の頭を自分の膝に乗せる。
「だから何をしているのですか飛鳥!」
「よしよし零くん、よーしよーし」
「わ、私もやりますっ!」
「零くんがこうなっちゃったのは京華ちゃんのせいでしょ!だからだーめ!」
「そ、そんな…」
「どうしたの京華ちゃん?もしかして、零くんのこと好きなの?」
「あ…」
「あ~やっぱりそうなんだ~?」
「ち、違いますっ!た、ただ小動物のような感じだったので、触ってみたくなったっていうだけですっ!」
「ふーん」
「からかわないでくださいっ!」
これから少しの間、二人の女子に振り回される零なのであった。




