混ざる世界
初心者ゆえ、稚拙な文ですが読んでいただけたら嬉しくて涙が流れます。
私は、私のこの家の窓から眺める星空が好きだった。
神都から少し離れた場所に立つこの家には町の光はほとんど届かないから、とても綺麗に星達は瞬くのだ。
私はまた今日も、同じ時間に同じ窓を覗き込む。
本を片手持ち、お気に入りの椅子に腰掛けてからゆっくりと目を開く。
今日、星が空で瞬く事はなかった。
街から人の声が聞こえる。
楽しげな笑い声ではない。
怯え戦慄する声だ。
神都の中心地にいる黒いそれは、まるでこの世界を憎んでいるかの様に恐ろしく、悲しげに声を上げる。
腕を上げれば建物は崩壊し、尾が揺れるだけで木々はなぎ倒された。
兵士も、精霊も、天使でさえその圧倒的な力の前にはなすすべもないのだ。
それでも、それは止まる事なく大きく重たい体を引きずりながらこの世界を蹂躙していく。
ついに黒いそれは、神都で一番にあの白く美しく輝く巨大樹の見える広場にたどり着いた。
そして自分の何十倍もあろう大樹を見上げる。
黒いそれは歩みを止め、大地を震わせる程の声を上げながら大きく口を開いた。
開いた口の前で、街を焼き尽くす炎を写した赤黒い光の粒子が集まっていく。
刹那の瞬間、光の粒子は一本の線となり、その光線は街をチリと化し、大樹を貫通し、夜空を星ごと切り裂いた。
そうして、赤く燃える大地とともに星達の輝きは消え去ったのだ。
後の人々は黒いそれを、
魔に落ちた全てを無に帰す神、
ーー魔神ーー
として語り継いだのだ。
どこまでも続く漆黒。深く、冷たく、まるで全てを飲み込こもうとしているかの様な闇。
なんだか怖くなり私は身体を揺らす。
ふと、目の前に一つの淡く、小さい光。消えそうで消えない、暖かいその光は徐々に近づき私を包み込む。
「安心して……僕が……そしていつか…また……くよ。」
途切れ途切れに何かを囁いている様だが、よく聞こえない。
光はまたゆっくりと私から離れていく。
――行かないで!!!!――
声を聴きたくて追いかけるが、ゆっくりと光は闇に消えていった。