【第三話】医務室
夕食を配りに来た看守が様子を見て、このままではまずいと判断し医務室への搬送要請をした。
ホセは医務室のベッドで意識を取り戻した。
「気がついたようね、気分はどう?」奥から女の声がした。
腕には点滴が指してあった。
気を失っている間に医務室に運ばれた事を理解した。
入り口には看守が立っていた。
女は中島香織、東京プリズンで医務室勤務の医者であった。
「きみが手当てをしてくれたのか?」
「そうよ。まずはあの看守さんにお礼を言ったらどう?あの人があなたを医務室へ運んで来たのよ。」
体を起こし「なぜ助けた?」と看守に聞いた。
「動画を遡って確認したが、あれはいくらなんでもやり過ぎだ。」看守の伊藤が答えた。
「俺があの時間に上番していればもっと早く気づけたんだろうが。」
「じゃあ、あの看守は?」
「囚人に言うべき事では無いが、安心しろ勤務交代でさっきの連中はいない。」
と伊藤は少し間を開けて答えた。
「ところでいったい何をしたのよ、社長さんが脱走でも試みたの?
ウェントワース・ミラーのつもり?あなたの年齢ならジョン・ウェインって人かしら?」
女は指で髪をかき上げながらそう言った。
ホセは両肩をあげて首を傾げた。
「今日はここで寝かせてくれないか。」とホセは頼んだ、そして金が欲しければ払おうとも付け加えた。
しかしその申請は通らず独居房へと戻された。
ただし「包帯の交換と経過観察をするので明日も来る様に。」と医者から言い渡された。




