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06 ピンクの壁面

【グロ注意】

挿絵(By みてみん)



 俺の家の近所には産婦人科の病院が建っている。

 五階ほどはあると思えるコンクリの外壁は、結構色の濃いピンク色に塗られており、新築の頃はきっと、人によっては目にキツイ建物だったかもしれない。そう思えるキツイピンクの建物である。


 その産婦人科の目の前で、俺は道路脇に落ちている一枚のチラシを拾った。


『占い承ります』


 と大きく印刷されたもので、場所は今、俺の横に建っているこの産婦人科の病院。受け付け時間は午前三時。明らかに怪しい内容だった。

 俺は友人と二人で、興味本位でその占い屋を調べてみることにした。午前三時、家を抜け出し病院に向かう。近所に住んでいた友人と現地で合流して、病院が見える位置に建つ、ビルの脇から監視する事にしたのだ。


 病院の玄関は明かりも灯っておらず、院内にも窓から明かりは見えない。鍵すら開いてないとも思える、分厚いカーテンがかかった扉はやけに暗く見えていた。

 ただでさえ、良い噂を聞かないらしいこの病院は、東京都心であるこの地域の、沢山の街灯に照らされていながら陰鬱さを滲ませていた。


 人気が全く感じない道と病院を眺めていると、女性が入るのが見えた。朝が来るまで結局、三人くらいは中に入っただろうか。

 みな、暗い中なので顔は見えない。遠目に見る服装や体型から二十〜三十代くらいの人なのかな。という印象でしかなかった。

 しかし、朝まで病院を見張っていたが、一度入った女性達は誰一人出てくる様子は無かった。



 次の夜中も病院を見張ることにした。

 やはり相変わらずの陰気さで、暗闇にくどい程ピンクに塗られた外観が、異様なほどの嫌悪感を増す。

 今日は少し近づいて、病院前を通り過ぎてみた。目の前を通りかかると、建物の中から音が聞こえるのだ。


 ごりっ……ごりっ……ごりっ……ごりっ……バリッ……ごりっ……


 固いものでも削るような、折るような音。病院にはやはり明かりはついていない。

 風向きなのか、ふと悪臭のような物が香った。おかげで少し気分が悪くなってきたので、その日はすぐに家に帰る事とした。



 その次の夜も俺は病院の前にいた。今日も辺りはやけに暗い。病院は明かりがついていない。


 病院に隣接している駐車場に木が一本生えているのだが、そこに何かがぶら下がっている。肉。横幅五センチ程、縦に三十センチ程の板状の肉の塊が大量に木に吊るしてある。近づくと、形容しがたい妙な臭がする……気がする。吐き気がしてきた。

 また、病院の中から……ごりっ……ごりっ……と微かな音が響く。削る音。木の脇に、黒いゴミ袋が捨てられていた。開けてみると、女性物の衣服が詰まっている。一日目に見た人の服と似た色の物がある。しゃがみ込んだ俺の頭上には、干された何かの肉の塊が風で揺れている。吐気。吐気。吐気がする。音が止まない。削る、おと。なんの。音。なんだこれ、気持ち悪くなってきた。音がして、服があって、異臭がして、何かの肉が干されていて。吐き気が止まらない。


「大丈夫?」

 遠くで周囲を見張っていた友人は、帰って来た俺にそう声をかけてきた。

「……うん、大丈夫」


 誰か、もっと人のいる所に。あぁ、そばにある交番、誰か……居れば……。

 俺達は、その病院から数百メートル歩き、一人の警官に話しかけた。高校生が夜中に出歩いている事にまず怒られそうになった。

「待って下さい、だから、聞いてください」

 警官は不審な顔をしつつ、俺達の話しを聞くため喋るのをやめた。


「そこの、××××病院で……………」


 2005.03.20

次回もグロい系になるかと思います。


今夜も、良い夢を。

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