表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

04 銀色の菓子

【不思議・奇妙な物語】

挿絵(By みてみん)



 俺は自分の部屋に居た。

 目の前の机にはボルトやナット、ワッシャーと金具が散らばっている。よく見れば、指輪やピアス、細めのチェーンなど雑多なパーツや金属部品がごったに混ざっている。


 片付けないとなぁ……。


 ぼんやりとその光景を眺めた俺は、ぼんやりしたまま机の前に立ち、金具を一つ摘まんだ。


 かこり。


 前歯で噛み、指を軽く動かすとそんな音を立てて、金具は割れた。

 口に含み、咀嚼する。


 かこ。かこ。


 食感としては、落雁が近いだろうか。歯に力を僅かに入れるだけで、脆くも粉々に砕けていく。

 なぜか、目の前の金具を片付けようとしているはずの俺は、その金具を黙々と食べ続けている。


 美味くはない。無味無臭で、金属の味も素っ気すらないのだ。

 ただ、俺はそうする事が義務であるかのように、当たり前に口に入れてはかこり。かこ。かこ。と金具を砕く。噛んだ具合が良い気がするだけで、腹も膨れないし、味も無いせいか、いくら口に含んでも俺は無表情のままだった。


 手を伸ばし、口に入れ、噛み砕く。

 機械的な動作をなんとも思わずひたすらに続けるのだ。


 俺はなんで、これを食べているのだろうか。

 という事がふと頭を過るのだが、


 あぁ、そうか。片付いてはいるな。


 と当初の目的を思い出して作業を続けた。


 一つづつ、摘み上げ、口に入れ、砕き………そういえば、飲み込まずに口の何処かへ消えている。


 まぁ、いいや。

 とりあえず、片付けてしまおう。


 かこり。かこ。かこ。


 2004.07.14

シルバーウィークという事で、頑張って連日更新を目指します。

水曜まで毎日一話、全四話。連休中に更新していく予定です。


また明日の夜に。良い夢を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ