記録2 自分の欲に忠実なヤツ
ホープが連れて行った地下室には、巨大な機械があった。これは何の装置だろう?
「ははは、どうです?ワタシが発明した、霊魂完生装置!これを使えば、死人は新たな命を得られるうえ今までの罪がすべて消えるのです!新たな存在になるのですから!!」
「すっげ・・・。」
ホープはこの装置の使い方の説明をした。
「使い方は簡単です!この3つのボタンを左から順に押すだけ!と言いたいのですが、起動するためのアイテムが前にここに来た人間に奪われてしまったのです・・・。」
うぅ、こりゃその人探せってパターン入ったな~。装置を見ると、1つパーツが足りないのがわかる。
「名前は三国咲羅、歳は17、アナタと同じ純血の日本人です。」
日本人、しかも17歳なんてボクとかなりかぶってる。もしかして、死因も・・・。
「その人間は、2週間前にここを訪れました。死因は事故死、大型トラックにひき逃げされてしまったそうです。祖母の誕生日祝いに行く途中と言っていました。」
「そう・・ですか。ボクとは違いますね。人を殺めた挙句に自殺したボクとは・・・。」
そう、あの日ボクは三人の人を殺めた挙句に罪から逃れたいがために、自殺したんだ。残された家族の悲しみなんて、これっぽっちも考えないで。
「しかも、その人間は地獄で作られた武器、殺血巌を生まれながらに持っていた。
そんな人間にワタシが敵うわけなかった・・・。」
ホープはその場で肩をガクリと下げた。よほどパーツを奪われたのがショックなのか・・・。
「わかりましたよ、その人からパーツ獲り返してきます!」
「ほ、本当ですか!では・・・。」
ホープはポケットから鍵らしき物体を取り出し、ボクに渡した。
「これはこの世に通じる鍵です。時計回りに6回回せば、アナタ死んだ所へ戻れます。ただし、幽霊としてですが。それでもよろしいですか?」
そんなことはどうでもいい!ボクは生き返って、2度目の人生を薔薇色に飾るんだ!
「じゃあ、行ってきます!」
ボクは鍵を6回回して、あの場所へ戻った。罪を犯したあの場所へ。
「もうサッパリしてるな。あ、三国って人探さなきゃ!」
ボクは外へ勢いよく飛び出し、なんと空を走っていた。
「ふっふ~、さすが幽霊!浮いてるぞ~!」
しばらく空を走る余興を楽しみ、そして地上に降りた。
「しかし、幽霊ってことは人に見えないってワケだよな。・・・ん!?」
ボクはここで真逆のことを考える。
「なら、幽霊は幽霊が見えるのか!それなら話は早い!」
ボクは世間の3割強の人に失礼と思いつつ、存在が幽霊っぽい人を探した。
「あのボウズ!幽霊かも!って、咲羅って女じゃん・・・。」
いや、名前が女だからって女とは限らない。男の可能性だって十二分にある。ボクはひたすら、画家や配達員や海を窓から眺めている人・・・。見つからない、というかみんな平然と生きてるし!
「あの、何してんですか?」
「えっ、まさか・・・。」
振り向くといい感じのルックスの、年頃って女の子がいる。この子が咲羅、ボクが求める第二の人生を邪魔する敵!
「キミの持ってるパーツ、力ずくで貰い受ける!!」
「パ、パーツって何!?」
ボクは何も考えずに、彼女に飛び掛った。彼女の持つ、地獄の武器の恐ろしさも知らずに・・・。
今回からこの後書きを、「地獄の豆知識」ってコーナーの場所にしまーすwww
記念すべき第一回目は、地獄の十王の一人「閻魔王」についての豆知識!
地獄の十王であまりに有名な王ですが、日本ではその正体はお地蔵様、正確には地蔵菩薩であると言われています。インドではこの世で一番最初に死んだ人間、ヤマだと言われます。地獄の七回の裁判のうち、三十五日目の裁判を担当しています。
生前に悪い事してたら、舌抜かれちゃいますよ~。