91 襲われていた隊商を助けてみた
「ハリーさん! 起きてください」
「う~ん」
俺が目を覚ますと輝夜が俺の顔を覗き込んでいた。
輝夜は既に身なりを整えている。
「もう朝ですよ。結界が解かれる時間に森の外に行かないとなので準備してください」
ああ、そうか。ここは九狐族の村だったな。
結界が解かれる時間じゃないと森の外には出られないんだよね。
昨夜は夕飯食べた後にまた輝夜とヤッて寝ちゃったんだよな。
「もう、準備をするの? 昨日の結界が解かれた時間はもっと太陽が昇ってた時間だと思ったけど」
「そうなんですけど…他の村人にハリーさんをうちに泊めたことを知られたくないので…」
輝夜は申し訳なさそうな顔をする。
そうだよね。人間の俺と性交したなんてみんなに知られたくないよね。
「分かった。すぐに準備するね」
俺は起きると荷物をまとめて旅支度を整えた。
「それじゃあ、森の出入り口までお送りしますね」
「うん」
輝夜は俺の先を歩いて森の中に入って行く。
お尻にあるふさふさの尻尾が揺れる度に触りたくなるが俺は我慢する。
しばらく経つと輝夜が足を止めた。
「この先が森の出口です。まだ時間があるのでここで時間まで待ちましょう」
そう言って輝夜は近くの大きな平らな岩に腰をかける。
俺もその横に座った。
「まだ時間があるよね? 輝夜」
「そうですね。まだ少し時間ありますね」
「それならもう一度だけ輝夜とヤラせて」
「え? ひゃあぁん!」
俺は輝夜の尻尾をギュッと掴み平らな岩の上に押し倒して結界が解かれる時間まで輝夜の身体を堪能した。
「それじゃあ、またね。輝夜」
「ハリーさんも気を付けて。霧が出ても道を真っ直ぐに行ってくださいね」
「分かったよ」
俺は輝夜にチュッと口づけした後に歩き出す。
すると霧が出て来て辺りは白くなった。
もしかしてこの霧は九狐族の結界と関係あるのかな。
霧が出ても真っ直ぐ進めって輝夜は言ったよね。
しばらく歩くと霧が晴れて俺は街道に出た。
よし! このまま南の方向に行けばいいんだな。
俺は街道を南へと歩き出す。
すると前方で何やら騒がしい物音と人の叫び声が聞こえてきた。
なんだろう?
俺は騒ぎのする方に急いで向かう。
そこでは隊商だと思われる馬車や人々が黒服の集団と争っていた。
隊商を護衛する者と黒服の集団の剣が激しくぶつかり金属音を響かせる。
大変だ! きっと盗賊に襲われているんだ!
俺は冷静に盗賊たちの動きを見る。
特別な訓練をされた者の動きではない。
これなら俺だけでも十分排除できる。
そして馬車を襲っている集団から少し離れた所で大剣を手にして集団に大声で叫んでいる男に注目した。
あの男が親玉だな。
集団を相手に戦う時は相手の首領を倒すと効果的だ。
統率の取れなくなった集団は単なる烏合の衆に過ぎない。
俺は素早くその首領と思われる男に近付いて剣を抜いた。
相手も俺に気付く。
「なんだ! てめえは!?」
「名乗るほどの者じゃないさ。単なる旅人だよ」
「俺を馬鹿にしてるのか! くらえぇ!」
男が大剣を振ってくる。
大剣は当たれば破壊力はあるが余程の腕がなければ速さで後れをとる。
俺はひらりと男の一撃目を避けて男が次の攻撃に入る前に相手の懐に入り込んだ。
大剣が災いして近距離にいる俺に対して男は対応できない。
俺の剣が男の身体を的確に切り裂く。
「ぎゃあああ!」
男は血しぶきを上げてその場に倒れた。
ローゼン将軍から実戦用の訓練を受けていた俺は人を斬るのは初めてではない。
皇帝は綺麗ごとだけでは務まらない。
時には自ら人の命を奪うこともある。
「うわあ! お頭がやられた!」
「逃げろ! 逃げろ!」
盗賊たちは慌てて逃げ出し始めた。
元々、軍隊のような集団ではないから自分勝手に逃げ出していく。
盗賊の男たちがいなくなって俺は剣をしまう。
襲われた隊商の方を見るとケガ人はいるようだが死人までは出ていないようだ。
ふう、訓練された奴らじゃなくて良かったな。
「あ、ありがとうございました! 旅の御方!」




