85 セルシオへのお守りを買ってみた
次の朝。俺は法王が用意してくれた朝食をメラニーと食べていた。
「まあ、ハリーはこれからハルファ王国に行くの?」
「うん。法王様が勧めてくれたんだ」
「そうなの。でも砂漠の国だから気をつけてね」
「うん、気をつけるよ。メラニーはこれからどうするの?」
「私は自分の町に帰るわ。お父さんは見つかったけど法王様じゃ一緒には暮らせないもの。でも法王様は生活費を送ってくれるって言ってくれたわ。それだけでも私は感謝よ」
生活費を法王様が送ってくれるならメラニーのこれからの暮らしも心配ないよね。
それに公にはメラニーが法王様の子供だって言えないだろうし。
ついでにハルファ王国についてもう少し情報を聞いておこう。
「ハルファ王国について他にメラニーの知ってることってある?」
「そうねえ。王都はハルシンっていう名前でそこは砂漠の中にあるけどかなり大きな街らしいわ。あとは国王様はたくさんの女性を囲っている後宮を持ってるって聞いたけど」
ハルファ王国には後宮があるのか。ということは王家にはかなりお金があるってことだな。
俺が皇帝時代に計算した後宮の維持費用はかなりのお金が必要になる。
領土が砂漠や荒れ地でありながら後宮を維持できるということは何かで王家が儲けているからだ。
俺は法王に聞いたハルファ王国で採取される鉱石のことを思い出した。
「ハルファ王国では珍しい鉱石が取れるって聞いたけどそれは高価なものなの?」
「ええ、そうよ。ジェネルという鉱石で西大陸ではかなり高額で取引されてるわ」
なるほど。やはりその鉱石が主な収入源なんだな。
「ここからハルファ王国に行くには南に向かえばいいんだよね?」
「そうね。南に向かう街道は一つだから迷わないと思うわよ」
一応俺も西大陸の地図を持ってるし街道が一つなら迷わないで済みそうだな。
「そうなんだね。教えてくれてありがとう、メラニー。朝食を食べたら弟へのお守りを買いたいんだけどメラニーも付き合ってくれる?」
「いいわよ。一緒に行きましょう」
朝食を食べ終わり俺とメラニーは法王様に別れの挨拶をしてセラフ大教会のお守りを売っている場所にやってきた。
お守りを買うには聖なる泉で身を清める必要があるからもう一度聖なる泉で身を清める必要があるか法王様に聞いたら「セラフ神の加護を既に受けているので大丈夫ですよ」と言ってくれた。
売り場に並んでいるお守りはいろんな種類があって俺は悩む。
う~ん、セルシオに合うお守りって何だろう?
「どうしたの? ハリー」
「弟に何のお守りがいいか、悩んじゃって…」
「弟さんは家でご両親と暮らしてるの?」
「両親は既に亡くなったから俺が旅に出る前にしていた仕事をしているよ」
「まあ! もう立派に働いているのね。それなら「仕事運上昇」のお守りなんてどう?」
メラニーは「仕事運上昇」と書いたお守りを勧めてくる。
そうだな。セルシオが立派な皇帝になれるように「仕事運」が上がるお守りがいいか。
「うん。弟には仕事を頑張って欲しいからこの「仕事運上昇」のお守りにするよ」
俺は自分で稼いだお金でそのお守りを買った。
よし! これを送便屋で送ってあげよう。
セラフ法王国との交易の話が来たら話を受けるようにって助言の手紙も送らないとだし。
セラフ大教会を出たところでメラニーとは別れることになった。
「じゃあ、メラニー。元気でね」
「ハリーも気を付けて」
メラニーと別れた俺は送便屋を探して歩き出した。
その頃、ローゼン将軍はセラートの護衛商会にいた。
ハリードルフが雇った護衛の者と接触できないかと考えたのだ。
「だから、お客さん。護衛商会は雇う側も雇われる側の情報も第三者には言えないんですよ。いろんな事情を持った者が多いのでね」
「そこをなんとか頼む!」
受付の男にローゼン将軍は頭を下げる。
ハリードルフの似顔絵を見せハリードルフに雇われた護衛の者を探していると尋ねても受付の男は「教えられない」の一点張りだ。
「私はこのハリーって男をどうしても探さなければならないのだ!」
「あら? あなたはハリーを探しているの?」
「ん?」
ローゼン将軍に茶髪にすみれ色の瞳の女が声をかけてきた。
「ハリーを知っているのか?」
「ええ、知ってるわよ。ラーシエルからここまでハリーと一緒だったわ。私はラーシエルに戻るから今日はラーシエルまでの仕事を探しに来たんだけどね」
この女が陛下が雇った護衛なのか?
陛下よりも腕が立つとは思えんが…いや! 今はそんなことは関係ない!
「そ、それで今ハリーはどこに!?」
「昨日はセラフ大教会に行くって言ってたわ。その後は知らないわ」
「セラフ大教会? しまった! 行き違いか! すまん、情報をありがとう!」
ローゼン将軍は慌てて護衛商会を出てセラフ大教会に向かった。




