14 ミザリーナと姦通してみることにしてみた
俺はミザリーナの部屋に入る。
その部屋はかなり広い部屋だ。おそらくこの宿で一番広い部屋を取ったのだろう。
ベッドは全部で四つもある。
つまりこの部屋は通常四人部屋ということだ。
あの年老いた従者と同じ部屋に泊まるとは考えられないからミザリーナが一人でこの部屋を使っていることになる。
「随分、広い部屋だけど、ここはミザリーナさんが一人で使っているの?」
「ええ、そうですわ。私はサーレル子爵家令嬢ですもの。ハリーはサーレル子爵家をご存じ?」
俺はサーレル子爵家なんて知らない。
そもそも皇帝のいる皇宮に入れる資格があるのは基本的に伯爵家以上の者と決まってる。
なので当然皇帝の俺にミザリーナが会ったことはないはずだ。
俺は人の顔と名前は一度で覚えるが俺の記憶の中にもミザリーナはいない。
「ごめんね。俺は貴族のことはよく知らないんだ」
「まあ、そうよね。ハリーは貴族ではないものねえ。残念だわあ~」
ミザリーナは俺の顔を見ながら溜息をつく。
やっぱりミザリーナは人を身分で判断する女か。
人は身分で判断する者じゃないってことを教えてあげないとね。
「俺が貴族じゃないと何か不都合なの?」
「え? そ、それは私と身分が釣り合う相手じゃないと婚姻はできないし……」
俺はミザリーナの身体に近付いてミザリーナの青い瞳を覗き込む。
ミザリーナの顔がポウッと赤くなる。
俺はわざと少し悲しそうな声を出す。
「俺って貴族じゃないから何の価値もないかな?」
「…っ! そ、そんなことは申してませんわ! 私が結婚した後でもハリーなら恋人にしてあげてもいいわよ♡」
「ミザリーナは結婚するの?」
「ええ。もちろんですわ」
「誰と結婚するの?」
「私の婚約者はあの有名なガードック伯爵家の嫡男アルフレッド・ガードック様ですわよ」
ミザリーナは得意そうに言うが俺の記憶ではガードック伯爵家は貴族の中では名門でも何でもない。
確か同じ伯爵の爵位を持つ家柄の中でも中の下くらいに位置してるはず。
「そうなんだ。俺はよく知らないけど……」
「まあ、あの方を知らないなんて! でも、それは別にいいわよ。ハリーがアルフレッド様にお会いすることはないもの」
「どうして?」
「あら、だって私の旦那様と恋人のハリーが出会ったら大変じゃない。ハリーと私は秘密の恋人ってことよ♡」
う~ん、俺はいつの間にミザリーナの秘密の恋人になるのが決まったんだろう?
ミザリーナは自分勝手な女だなあ。
でもジルヴァニカ帝国では貴族の姦通は罪が重い。
平民は姦通しても刑罰はないけど血筋を重んじる貴族は別格だ。
特に男よりも女の方が罪は重い。
だから俺も舞踏会でヤリたい貴族の女がいてもヤレなかったんだし。
「この国では貴族の女性が姦通したら重い罪になるのは知ってるよね?」
「あら~ん♡ バレなければいいのよ~ん♡ 初めてでも血が出ない女だっているし子供ができなければ大丈夫よ~ん♡」
ミザリーナが俺に身体を摺り寄せてきた。
うん、ミザリーナはジルヴァニカ帝国の貴族として失格だね。
貴族としての心得を指導するぐらいじゃ手緩いや。
社交界から追い出すぐらいにしないと。
この女が伯爵夫人になって皇宮に出入りできるようになったら他の貴族の男を誘惑するかもしれない。
それが原因で貴族同士の争いに発展したらセルシオが皇帝になった時に大変だ。
ここはしっかり元皇帝としてミザリーナから貴族令嬢の資格をはく奪してあげよう。
ミザリーナが姦通してるって婚約者のアルフレッドに伝えれば婚約破棄だろうし子爵令嬢として他に嫁ぐことはできなくなる。
そのためにはミザリーナが姦通している証拠が必要だ。
俺がその証拠を作ってやろう。
俺はミザリーナの身体を抱き締めて口づけをした。
ミザリーナが俺の口づけに応えてくる。
そのまま俺はミザリーナをベッドに押し倒した。




