作家ならSNSなんぞ見てんじゃねえ!!
「作家ならSNSなんぞ見てんじゃねえ!!」
こう言われたら「いや無理だろ」と返してしまう。分かります。
通知光ったら見ちゃうだろ。
⇒開いたらTL流れてるだろ。
⇒TL流れてたらちょっとだけって思うだろ。
⇒気づいたら1時間経ってるだろ。
分かる。分かりすぎて首もげそう。でもそろそろ言わせてほしい――SNS、お前ほんと邪魔。
特に我々WEB小説書きにとって、SNSは「作品発表の場」であると同時に、「やる気と時間を削り取る黒魔術」でもある。
「他の作家が毎日更新してる!自分は……」って勝手に比べて凹んだり、トレンドに脳を持ってかれたりして気づけばプロットが迷子。よくあるよくある……。
でもこれは私達の意志が弱いからじゃありません。SNSが意図的にそう作られてるから。
スマホ依存、SNS依存なんて聞いたことないですか?
このエッセイでは、SNSがなぜ作家の天敵たり得るのか、その仕組みを丁寧に優しく容赦なく暴いていく。
そして最後には、今日から使える「SNS断ち」実践術をお届けする予定。
なおあなたの執筆時間を守るためにも、このエッセイを読みながらSNSを開くのはマジでお勧めしません。
◆
SNSを開いたつもりはないのになぜか親指が勝手にX(旧Twitter)のアイコンをタップしている──これはSNSユーザーあるあるです。
でもこれ、本当に無意識じゃなくて、意図的にそうなるよう設計されているって知ってました?
SNSは、ユーザーの“滞在時間”をとにかく引き伸ばすように作られてます。そのために使われているのが、報酬系という仕組み。
通知が来る
→誰かが自分に反応してる
→承認欲求が刺激される
→また見たくなる
この流れ、完全に脳が快感にハマる構造になっていてギャンブルのスロットマシンと同様、結果が予測できない(=ランダム報酬)からこそ中毒になるって寸法です。
しかもSNSは「無限スクロール」と「おすすめアルゴリズム」によって次から次へと刺激を供給してくる。
終わりがないからやめどきもわからない。つまり、やめられない。
ある日「ちょっとだけX見よ」と思って開いた結果、1時間後に自分が何を見ていたのか、何も覚えてなかった。そんな記憶ありませんか?
そしてプロットや執筆が1ミリも進んでない。SNSは時間泥棒、なんて自虐ジョークが言われるけど手口的にはマジで泥棒です。
繰り返しますが、あなたの時間はSNSに奪われています。まずそのことを自覚し、警戒してください。
分かった上でSNSを楽しむのはあなたの選択です。
でもそれを自覚しないままあなたの生活がハックされていいように転がされてるのは腹が立ちませんか? 私は腹が立ちました。カスがよ……。
加えてSNSは時間泥棒以上に厄介な側面もあったりします。次の章でその“作家にとってのSNSの毒”について語っていきます。
◆
SNSが時間を奪うだけなら、まだ“悪いけど便利なツール”で済んだかもしれない。
でも、作家にとってはもっとタチが悪い。SNSは「心を削る装置」にもなりうる。
まずひとつ目のダメージが「集中力の破壊」。
SNSの通知は、脳を“浅い注意モード”に引きずり込む。
文章を練るには深い集中が必要だけど、SNSはその集中を真っ二つに折ってくる。
ちょっと通知を見る→ちょっとだけのつもりが10分消える→脳が執筆モードに戻らない。
「再び書き出す」のに必要なエネルギーは膨大です。そもそもSNSを触らないのが一番いい。
次にくるのが「比較地獄」。
SNSには毎日誰かの「更新しました!」「書籍化決まりました!」「月間○○PV!」という投稿が流れてくる。
わかってる、祝福したい気持ちはある。でも、自分がその日書けてなかったら?
「なんで自分は…」って勝手に落ち込む確立80%。悲しいなぁ……。
この“負の自己比較ループ”に入るとメンタルにくるのでマジお勧めしません。
”比較”の獣に嫌われたくなきゃ極力デキる他人と自分を比較しないようにしましょう。
あるいは上を見つつも下を見ることも忘れないようにしましょう。
あなたは(恐らく)一握りの殿上人ではありませんが、頑張っている人です。こんな場末のエッセイまで覗いて情報収集しようとしているんだから間違いない(自虐ジョーク)
あなたより頑張っていない人も間違いなくいる。
だから頑張らなくていい訳では全くないですが、落ち込む必要はありません。あなたはあなた。あなたなりに頑張ればそれだけで花丸百点の精神が大事。
と、このようにSNSを見て得られるものも確かにあるけれどもそれ以上に「自分を削る副作用」が大きすぎる。
やはりSNSは人類に早すぎるツールだったのでは……? 与えた幸福と不幸の総量を比較したら正直不幸の方が大きい気が……。
閑話休題。
ここまでの解説を読んで頂けたら分かると思いますが、意志の力でSNSを完全にやめるのは現実的じゃありません。
何故ならSNSプラットフォームは巧妙にアナタの生活をライフハックしてくるから。
ではどうするか?
ハックにはハックを。
意志力ではなく仕組みによって脱・SNS戦略を実行しましょう。
◆
SNSを断つ――それは作家にとって「書く時間を取り戻す」だけじゃなく、「精神の健康を守る」行為でもある。
だが、問題は「やめたいけどやめられない」ことだ。
というわけで、ここでは“依存から抜ける”というより“ハマらない仕組みを作る”方向で戦略を組み立てる。
■ アイコン、お前をホーム画面から追放する!
まず最初にやるべきは、SNSの入り口を減らすこと。
私自身が取り入れて効果があったのがこれ
・ホーム画面からSNSのアイコンを削除
・通知オフ
多分これだけでも「無意識に開く」動作が激減する。敢えてひと手間かけることでこれは面倒くさいと脳が認識するからです。
アクセスしやすさ=ハマりやすさ と考えていいです。逆にアクセスしにくい=ハマりにくい=やる気でないも成立する。
ちなみにアマプラあたりのサブスクが登録するのは簡単なのに退会処理は敢えて面倒くさくしてあるのはこのメカニズムを悪用しているから。カスですね。
これは執筆意欲についても応用できるので覚えておくと役立つかも。
思い立ったらすぐ執筆しやすい環境作りが書きやすくなる第一歩。やる気は搾り出すものじゃなく、ハックするものです。
■スマホ、お前を手元から追放する!
はい、追放ネタ第二弾です。天丼ですね。
そもそもSNSを見るためのスマホを触るなという話。
スマホを触る時間が長いほど幸福度が低下するという怖い研究結果もあるため、こちらも是非積極的に取り入れて欲しいところ。
私個人は執筆の際はスマホを別の部屋に放置することで見ないようにしていますが、
調べた感じスマホアプリに頼るのもアリと思います。
個人的に面白いと思ったのは以下。
Forest:スマホを触らず木を育てる。触ると木が枯れる。ただしiOSだと有料(100円程度ですが)。
Freedom:SNSサイトを一定時間ブロック。無料で使えますが手動の設定が必要だったり、ブロックの強制力が弱かったり(自分で解除可能)と有料版が優秀というレビューがあります。
Focus To-Do:ポモドーロタイマー+タスク管理。ちょっとズレますが私イチオシの集中力アップ方法。無料でも十分使えるとのレビューあり。
こうしたアプリで強制的に遮断することで「気合に頼らない集中力」が手に入るのはメリットでしょう。
とにかく自分の脳に「アクセスしにくい環境=誘惑を回避できる仕組み」を作ることが重要です。
◆
SNSの誘惑に完全勝利する必要はない。ぶっちゃけ楽しいですからね、SNS。私も楽しんでます。
ただ、大事なのは流されっぱなしにならないこと。あなたの時間はタイムラインじゃなく創作に使うべきだ。
そのためには、“意識”より“環境”をいじる方が早い。
SNSはスクロールすれば簡単に面白い情報をくれるし、誰かと繋がっている感覚もくれる。たくさん利点がある文明の利器です。
一方でその代わりに時間を奪っていく厄介者という側面もまたあります。
ですが作家にとっての最大のリソースはフォロワー数でも“いいね”の数でもない。宣伝は大事ですが、まず中身である作品こそが大事なはず。
そのための書くための時間であり、書けるだけの精神的な余裕。
Xの通知はあなたの小説の続きを待っていない。
でもあなたの物語を読みたいと思ってる誰かは、きっとどこかにいる。
だから、今日くらいはSNSなんぞ見てんじゃねえ。
代わりに一行でもいいから書きましょう。あなたは作家なのだから。