入学初日の試練
高校入学初日といえば何があるだろうか。そう、自己紹介タイムである。なんだそれだけかよと思う人もいるかもしれないが、これはとても大変なことである。なぜなら僕は人の前で喋るということが一切出来ないからだ。人の前どころか1体1ですら喋れない僕がどうして人前で自己紹介なんてできようか。いや出来ない。そんなわけで僕は今高校入学早々ピンチを迎えていた。幸い柊という苗字である以上自分の番が来るまで時間がある。その間に前のクラスメイトのを聞いて対策せねば。
「俺の名前は天沢 天翔!中学までバスケやってて、全国まで言ったことがあるんだ。もちろんこの高校でもバスケ部で全国目指すからやりたいやつ一緒に頑張ろうな!」
そういって席に座った1番目の天沢くん。うん、無理である。なんだあの自己紹介。あんなふうに僕がやろうもんなら自己紹介じゃなくて事故紹介である。大丈夫。天沢くんがおかしかっただけできっといい感じの自己紹介を披露してくれる子がいるはずだ。
「私は井原 湊月です。私もスポーツをやってて、中学の頃はテニスで県優勝しました。天沢くんのあとだと印象薄いかもしれないけどよろしくね!」
お前もか!と思わずツッコミたくなるが自制し、心の中で突っ込む。2人目もなかなかであった。こんな感じでやらないといけないのだろうか。いや流石に無理である。いやほんとに。そんな感じで唸っているうちに前の人の自己紹介が終わっていた。え、もう僕の番?無理だよ?とりあえず席を立つ。頭の中には最初の2人の自己紹介がよぎり、つられるように口を動かす。
「ぼ、僕の名前は柊誠!中学ではき、帰宅部で予選敗退でした!僕と高みを目指したい人はがんばりましょう!」
事故紹介であった。周りがくすくす笑ってるのが聞こえる。「帰宅部で予選敗退?」 「どういうこと?笑」ほんとにそうである。なんだそれは僕が聞きたい。無意識に天沢くんの自己紹介を意識してしまった結果である。この場から逃げ出したいそう考えながら僕は机に伏せて周りを遮断するのであった。
僕の事故紹介が終わり、放課後になった。ひっそりと生きることを決めている僕はもちろん1人で帰ろうとする。そんな時
「ねえねえ、帰宅部くん」
そんな風に喋りかけてきたのは栗色の髪色でボブくらいの長さをしている美少女であった。えっと、誰?
「えっと誰?」
そのまま出てしまった。その美少女は少しムッとした表情をした後、
「牧野 音羽だよ!あなたの後に自己紹介したでしょ?聞いてなかったの?」
初耳である。
「ごめん、事故紹介をしてしまったからあの後から全てのことを遮断していたんだ。」
「なんか漢字違うきはするけどまあいいや。この後暇でしょ?ちょっと遊んでいこうよ!」
「誘う相手を間違えてますよきっと。僕みたいなコミュ障陰キャなんかと遊んでも楽しくないですよははは」
そんな感じでお断りし、教室を出ていこうとしたのだが
ガシッ
「行けるよね?」
「もちろんですとも行かせて頂きます」
すごく怖かった。姉さんを思い出した。
そんなわけで高校入学初日女子と遊びに行くことになりました。ほんとになんで




