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卒業
6が突然大学から姿を消した。
講義にも来ないし、サークルにも顔を出さない。
サークルの仲間からすれば、部員が1人減ったので少しは心配していたらしかったが。
誰一人彼の住所も彼の電話番号も知らなかったらしい。
みんなで連絡網として使っていた美術サークルのSNSからは彼のアカウントがまるで初めからなかったかのように消えていた。
「何かあったのだろうか?」
「病気とか……?」
「イジメだったとしても彼がイジメの対象になるような人間ではないだろ?」
部員たちはそれぞれ彼の事を心配して、彼を美術サークルに連れ戻したいと思っていたようだ。
けれど、季節が過ぎていくと、誰も彼の話題は出さなくなった。そして、今となっては美術室にポツンと空いたスペースが彼がかつていた事を思い出させてくれる証拠になっていた。
私は正直、ラッキーとさえ思ってしまっていた。あんなに輝かしい存在を私は心のどこかで妬んでいたのだろう。
自分の劣等感を感じなくて済む。