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別れ

この世には絵にもかけない美しさという言葉があるそうだ。けれど、それを書けるように実現している。まるで天国だ。本物の天国の風景を描いているような絵だ。この世界に現れた天国と現世を繋ぐ窓。

その絵に僕は引き込まれそうになった。視線ではない物理的にだ。

あの中の一部分に自分がいたらどれ程の幸せなのだろう。

それはどんな三大欲求でも満たされないほどの幸せに違いない。

ただし、僕を現実に引き戻してくれたのは6である。


「どうしてこんな時間に来たんですか?」


突然泣き出した私を心配するように彼が声をかけてくれる。

美貌により美学が極みへと足を進めた。

次元の違う世界へと足を踏み入れた瞬間である。

僕は興奮を押さえることができずに、あの絵を指差しながら尋ねた。


「なんなんですかこれ?

なんで、あなたがこんな絵を?

こんな絵、私初めて」


自然と涙が止まらなくなっていることに僕が気づく。言葉も片言だ。

私は涙を拭いながら、彼に問う。

すると、彼は優しく微笑みながら私の質問に答えてくれた。


「ボクも人に絵を見せたのは初めてです。ボクは1人で書きたい主義なので絵はいつも自宅に保管しているんですよ。

どこかに提出するような美術はいつも他人に描いてもらったものなんです」


「なんであなたはそんな事をするんです?

あなたは天才だ。あなたの絵ならあなたは評価される。世界に羽ばたける。そのチャンスをなぜ?

なぜあなたは美術サークルにいるんですか?」


「ボクが美術サークルにいる理由は題材を考えるためです。ボクは題材を考える時間がほしい。ボクは有名になりたいのではなく書き続けたいのです。そのため、大学内でも自然に美術に触れあえる時間が欲しかったんですよ」


6はその絵の額縁を掴んで少し落ち着いた様子で語る。


「……ここにもボクが求める者はいなかった」


「えっ?」


「いえいえなんでもありません。それではまたいつか会いましょう?」


6は私に製作過程を見られてしまったことに焦ったのか、道具を片付けてスタコラと部屋から退出していく。

───次の日から6は大学に来なくなった。


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