第6話
ミイナは目を覚ました。
疲労と安堵から眠ってしまったらしい。
両親は帰って来ているようだった。
居間に向かう。
「お母さん、お父さん、おかえりなさい」
「ただいま、ミリア。いい子にしていたか?」
「うん! テトの病気……どうなの?」
「ああ、ちゃんと薬を貰ってきた」
「そうなの! じゃあ治るんだね!」
「大丈夫だよ」
ミイナは不審に思った。
どうしてかは分からないが、父が自分に嘘を吐いているように見えた。
言葉を聞いて安心するべきなのに、心のどこかに濁りを感じた。
「ミイナ、夕飯できたわよ。みんなで食べましょう」
疑念を遮るように母の声が耳に入る。
もやもやとした気持ちを残しながら、ミイナはテトを連れて食卓へ。
テトは薬草の効果があってか、それとも両親が薬を飲ませたのか、普段と変わらないくらいの元気を取り戻していた。
私が無断で外出したのは両親には気付かれていないらしい。
「今日のご飯、とてもおいしいね、お母さん」
「ええ、王都の高級食材を買ってきたの。せっかくだからね」
テトも笑顔で食べていた。
可愛らしい弟の様子を見ることが何よりミイナには嬉しく感じられた。
ああ、こうやって笑顔で
いつもと変わらず
家族みんなで仲良く過ごす。
なんて幸せなことなのだろう。
目が覚めたら、弟の病気なんて消えてしまうのではないか。
夜、ミイナは目が冴えていた。
涼しげな夜だった。
虫の鳴き声すら聞こえない、静かな世界だった。
居間の明かりが扉の隙間から漏れていた。
両親はまだ起きているようだ。
不吉な予感がミイナの中で、暴れている。
心臓を強く握りしめられているような緊張感に襲われていた。
そっと扉の近くに寄り、耳を澄ます。
「……テトを殺さなきゃいけない」
話が全然前に進まないですねえって感じです。