第5話
ハーブウルフのリーダーは、ミイナにそっと寄り添った。
大きくてもそれは飼い犬のようだ。
「分けてくれるのね? ありがとう!」
ミイナはにっこり笑い、薬草を少し袋に詰めた。
そしてウルフの頭を撫でた。
温かな体温が感じられた。
「あなたは耳に傷があるからミミちゃんね!」
突然のミイナの一言に困惑するウルフだったが、受け入れたようだった。
「今は渡せるものがないけど、時々ここに遊びに来るね」
すっかり大人しくなった狼達は、少女が森を後にするのを静かに見送った。
自分たちを追い出した人間とは違う優しさを感じた。
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ミイナは村に戻ってきた。
まだ両親は帰ってきていないようで、玄関の防衛魔法も効力を残していた。
「ミイナよ、扉を開けて」
ガチャっと扉が開く。
ミイナは部屋で待つテトの元へ走った。
テトの状態は幸い落ち着いているようだった。
「テト、薬草を採ってきたの! 今から薬にしてあげる!」
ミイナは薬草をすり潰した。
手順は母の姿を思い出しながら。
「できた!」
ミイナはテトに薬を飲ませた。
テトは苦い薬に顔をしかめていたが、苦しさが引いたのか、眠ってしまった。
「……よかったぁ」
その姿を見たミイナも安心して眠ってしまったのだった。