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四人の親友~二人の少女

 アイは一番良くわからない。


 いつも、僕らの一人でも見つければ、小鳥みたいに飛んできて、声がかすれるまで喋りかけてくる。


 ウザいと感じる時もあったけど、僕たちはいつの間にか、それがアイなんだと受け入れていた。


 けれど一ヶ月前ぐらいから突然、喋らなくなった。トシカズにもイチヤにも喋るのに、僕だけにはてんで話しかけなくなった。


 それどころか目が合うと逃げるようになった。さすがに僕はムカついた。なあ、僕はそんなに嫌われるぐらいむごい何か、したのかよ?


 輪をかけてひどいのは、最後のマリアだ。


 彼女だけは保育園からずっと一緒に大きくなってきた間柄(あいだがら)


 小さな頃から『世話好きのお姉さん』キャラだった。園では僕の出したおもちゃの片付けから、お迎え前の荷物の準備まで、いつも一緒にやってくれた。


 喧嘩する時だって、止めようとしながらも、いつもマリアは僕の側に立って助けてくれた。


 だから、彼女の存在は――悪い言い方をすれば――当たり前になっていた。


 ところがその関係が一ヶ月前、急に途切れてしまったんだ。


 それは僕がアイに何か話された時の事だった。


 正直その時は、アイがまた差し障りの無い話題を喋ってるんだろうなと思って、半分以上は無視してしまった。その時の仕草はとても冷たく、手を払うようにして、シッ、シッって。


 突然の平手打ちが襲ってきて、僕は思いっきり吹っ飛んだ。


 頬を押さえ、目に星を浮かべていると、それを放った人物が叫んだ。


「馬鹿!!」


 僕の頬を打ったのは、誰でもない。マリアだった。


 彼女はとても怒っていて、唇が震えていた。すごく何かを言いたそうだったけれど、感極まってポロリとひと粒だけ涙を流した後、黙って行ってしまった。


 それ以来、彼女とはまったく口を利いていない。


 どうだい、この裏切りと暴力の数々。僕が心の病気になって引きこもるのも、納得できるだろう?



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