ある意味運命。
だいぶ書き留め出来たので、しばらく週1更新が確実になりました。
よろしくお願いします。
「はい、まず言うことあるよね?」
「お忙しい中時間を取っていただいたにも関わらず遅刻してしまい申し訳ございませんでした。」
「はい、次。なんで国立君が此処に?」
「英司に用があってな。大澤が此処で仕事してると聞いて覗きに来た。許可証は発行してあるから問題ない。」
「卒業してから会わなかったしね。そんで、英司は?お昼以外で来るの珍しくない?」
「虫の知らせ。」
「なんじゃそりゃ。」
隣のテーブルをくっつけて向かい合うは、なかなか珍しい組み合わせの3人組。逃げ遅れた結花ちゃんをガッチリ捕まえて横に座らせ、顔面偏差値高い彼等の方に尋ねれば返答は様々。
先程から必死に謝罪を口にしてるのは高校時代から変わらず人気の高い動画投稿者、山口雄斗。結花ちゃんと話していた来客とは彼のことである。今でもお手伝いは続いており、今回も打ち合わせを兼ねて約束していたのだ。
その横で淡々と話す彼は国立恭介。前作のメインヒーローの為、ずば抜けて顔面偏差値が高い。就職するにあたってバンドを解散するも、その人気は衰えない。卒業以来会っていなかったので久しぶりの邂逅である。
そしてよく分からん返答をしてきたのは橋爪英司。前作攻略対象者の中で我が幼馴染みに次いで仲の良かった友人だ。まさかの教員免許取得、からの今年から清蘭中等部に赴任。昔に比べて人当たりは良くなった為男女問わず人気者の教師。敷地内で再会してからは何故かお昼を此処で過ごしている。
仕事は放棄せざるを得なかった。彼等を待たせると女子生徒が居座って帰ってくれない恐れから先にこちらを片付けることにした。
のだが。
「大澤、隣のお嬢さんは?」
「私の従姉妹だよ。此処の生徒で3年生。」
「あー…、町田結花です。よろしくお願いします…。」
隣に座ってから下を向いて存在を薄くしていた結花ちゃんだったが、国立君は気になったらしい。仕方なく顔をあげた彼女は控えめな自己紹介をしてまた俯いた。
結花ちゃん的には気まずいのだろう。なんせ数年前、前作ヒロインとして国立君に猛アタックされていたし。
勿論そんなこと彼が知るわけないのだが、声を掛けてからその視線は結花ちゃんから外れない。ひたすらガン見している。
その視線が痛いのか、結花ちゃんからのSOSが飛んでくる。
「そんなに結花ちゃん気になる?」
「なんか、懐かしい気がして。」
「恭介面識あるの?」
「いや…なんというか…。」
意識をこちらに向けてもらおうと声を掛ければ、不思議なことを言い出す国立君。英司も尋ねるがどうもハッキリしない。
立ち上がったかと思えば、そのまま結花ちゃんの横に移動してくる。
見下ろされるのが嫌なのか彼女も立ち上がって応戦。
見つめあって数秒、ゴングが鳴り響くかと思われたが。
「これはきっと運命だ。俺と結婚を前提に付き合って欲しい。」
「………………へ?」
「「「は?」」」
「はぁぁぁ!?」
鳴り響いたのは結花ちゃんの絶叫だった。