私の従姉妹。
いつもありがとうございます。だいぶ仕事も落ち着いたのでストック増やせそうです。
情報を手に入れてすぐに何かが起こるわけでもなく、ここ数日はいたって普通だった。ゲーム開始は4月だからまだ大人しくしてるつもりなのかな?
「姉さん?」
放課後のカフェテリア。
休憩をもらってぼんやりしている私の目の前で手をヒラヒラさせてくる存在にハッとする。
向かい側に座った彼女は自販機で購入したらしいミルクティー片手に不思議そうにこちらを伺っている。
「あぁ、結花ちゃんか…。」
「何ぼんやり…ってアレか。マスターからもらった?」
「結花ちゃんも資料もらってるの?」
首を縦に降ったのを見て少しホッとしてしまった。情報を共有出来る人間、しかも生徒がいるのはありがたい。
私を姉と呼ぶ彼女は高校時代散々トラブルを起こしてくれた麗君の妹、町田結花ちゃんである。無事更正に成功した結花ちゃんは完全に自由とはいかないけど、マスターの監視の元で生活している。私とは従姉妹という設定らしくて姉として慕ってくれている。昔の嫌われようが嘘のようで初めは戸惑ったし貴史さんもかなり警戒していたけど、ちゃんと反省もしてくれてるし今は普通に仲が良い。
「本来はアタシ達が介入しちゃいけないけど姉さんは約束だから情報提供しないといけないし、前回の黒幕が関わってるかもしれないから現地で動ける人間が欲しいってマスターに資料渡されたの。」
「なるほど。因みにあのヒロイン達と接触した?」
「してないよ。でも対象者の1人とは同じクラスだから関わりはある。そこからなんとか出来ないかなって。」
コソコソと会話を続けながら結花ちゃんは視線を動かす。そこには資料で見た顔が揃っていた。足りない椅子を引っ張ってきて1つのテーブルを囲って何やらお話し中のようだ。
加賀美陽二郎。
井上卓也。
峰村琉生。
岸透吾。
そして、生徒ヒロインの東雲梓。
「ん?もう1人足りなくない?」
「桑原駿太は多分先生の方と一緒だと思う。彼処にいるのは皆クラスが一緒なの。桑原君はアタシと同じ。確か部活のことで呼ばれてた。」
「随分と濃いメンバーね…。」
パッと見た感じ既に逆ハーみたいな雰囲気出してるが、勿論今回もそんなルートは存在しない。現段階では貴史さんの様子が可笑しいなんてことはないけど、状況を見て臨機応変に対応出来るようにしておかねば。
「アタシはこのまま帰るけど、姉さんは?」
「もうすぐ休憩終わって最後までだよ。本当はもう少し早く取るつもりだったんだけど、来客に合わせてズラしたの。」
「来客?来てなくない?」
本来ならまだ生徒が授業中に休憩を取っている(ほとんど人来ないからね)。放課後も勉強なりお喋りなりで生徒はそれなりに来るからね。
ただ今日は事前に連絡があったからその時間にズラしたのに、一向に姿が見えない。手元のコーヒーも飲み終わってしまったし、連絡を入れて奥に戻ろうとする。
「大澤!わりぃ!捕まった!」
「!!遅い!もう休憩終わる…ん、だ、けど…。」
やっと登場したらしい声に振り向いて停止。
「うわぁ、これはマズイ」なんて結花ちゃんの呆れた声が聞こえた気がした。