もう呪われてるんじゃないのか。
「紫帆、マスターさんから。」
「ありがとうって、厚みあるなぁ…。嫌な予感しかしない。」
皆さんご機嫌よう。初めましての方は初めまして。
清蘭高校カフェテリア勤務の大澤紫帆と申します。知ってる?そこはノッてきてよ。
あれから何年経ったかは正確に把握はしていないけど、専門学校を無事卒業し篠崎さんの知り合いの所で短期の修行をさせてもらってから私は母校に戻ってきた。昔篠崎さんが計画してたカフェテリアの話はなんと清蘭に建てるものだったらしく彼が理事長就任後すぐに実行され、私はそこの責任者となってしまっている。初めて建物見せられた時は私のアホ面に貴史さんが大爆笑していた。貴史さんは清蘭の保健医だそうで、ほぼ毎日カフェテリアに通っている。
あの雪の日に告白され、無事想いが通じて卒業、私が戻ってきたと同時に貴史さんと婚約。私、イエスって言ってないんだけどね。
まぁ、高校生の時から随分とお世話になっているし、大切にしてもらえるのは素直に嬉しいのでいいんだけども。完全に絆されてるよね、私チョロい。
そんな充実した毎日を過ごしている所にマスターからの大きめな封筒。
卒業後も連絡は数回程来たけども、手紙とかは初めてだ。手紙というよりは何かの資料が入ってそう。
端を綺麗に切り、思った通り入っていた数束の資料を取り出す。
表紙に記載されているタイトルは、
「続編…攻略対象者…?マジですか…?」
思わず口にしてしまいハッとして周りを確認するが、貴史さんは部屋にはいない。気を遣って退室してくれたようだ。ありがたい。
一緒に入っていた便箋を確認すれば、補足がつらつらと書かれていた。
1冊はメインの攻略対象キャラ5人のプロフィール。
1冊はヒロイン2人のプロフィール。
1冊はシークレットの攻略対象キャラとそれ以外の主要人物のプロフィール。
現在2月下旬。ストーリー開始は再来月から。
ただヒロインの2人は既にこちらへ転移して生活しているらしい。
続編はヒロイン2人って、ゲーム開始時にどちらか選べるシステムなのかな?シークレットも1人増えてるし、だいぶボリュームある内容になったのね。それだけ前作の売上が良かったのかな?
就寝までにはまだまだ時間があるし、今後の対策も考えないとだろうから全部目を通してしまおう。今回はまったく知識がないから巻き込まれてどのくらいの被害がでるか予想も出来ない。傍観に徹するに限る。
まずはヒロインを把握しておこう。
1人は今年度から赴任した教師。前作と流れやエンディングは似た感じになるのかな?今年から来た先生は1人確かにいる。
もう1人は現在2年生の生徒。生徒シナリオが追加されたのか。カフェテリア以外で動かれてもあまり分からなそうだから、そこまで注意するほどでもないのかな?
続いてメインの攻略対象キャラを確認したけど、外見が違うだけで性格は前作のメインと被るところが多そうだ。内容は覚えなくて良いかな。顔はちゃんとインプットして回避出来るようにしておこう。
さて最後にシークレットと他の主要人物か。まぁ何人かは想像がつく。
最初のページに写るは、我が清蘭高校の理事長篠崎さん。言わずもがなよね。存在感凄いもの。説明を読む限りだとヒロインと対立するキャラクターなのね。となると、私も悪役側に含まれるのかな?
そのまま読み進めているうちに、ある違和感。と同時に嫌な予感。
彼が出てきていない。理事長の横に控える我が婚約者様。
ぺらり。
シークレットの1人目は他校の生徒会長だった。確かここは清蘭と姉妹校で篠崎さんが元々理事長をしていた学校だ。ならもう1人はその学校の先生かな。
なんて淡い期待を抱いてぺらり。
「ですよねー…。」
シークレット2
清蘭高等学校保健医
南條貴史
私は今回も巻き込まれるらしい。