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え、わざとなの?


「はぁ?なんであの世界ばっかり…。」



まったくである。

マスターの報告に真下君の眉間に皺が寄った。可愛い顔が台無しだ。向かい側の結花ちゃんも持ってた資料がぐしゃぐしゃになっているんだけども。

二人ともかぁ…。私達の知り合いだったらどうしよう。



「特定はできてるの?」

「どうやら高校生で友人同士らしい。ただ今回は連れてきた管理人が特定出来ないんだ。そもそも連れてきた痕跡がまったく無くてね…。」

「…それ、監査部の可能性もあるってこと?」

「今そっちを調査してる。」



まずは管理人と監査部の彼等のやり取りを大人しく聞こうとしたのに序盤から不穏すぎる。高校生ならとりあえず知り合いではなさそうなので安心だが、監査部の可能性って…。

そのまま口を出さずに聞き続けてみたが、犯人が分からない為ヒロイン達の情報も確認するのに苦戦しているらしい。いまだにあの世界は代理人である97番さんが担っていてくれているから、どうしても管理が行き届いていない現状だ。その隙を狙ってやっているのだろうけど。



「その件に関しては私達はお手伝い出来ないので申し訳ないですが…。」

「いや、巻き込んでしまっているこちらが悪いので気にしないで。ある程度の調査は終えているようだから、監査部の方の情報と照らし合わせてから報告かな?」

「それまでは出来る限りあの二人と接触しない方がいいですか?」

「そうだね…。紫帆さんはともかく、結花さんは難しいかもしれないけど…。」



確かに結花ちゃんは同学年だしなかなか厳しいかもしれない。まぁ、私も貴史さんの婚約者だから気を付けないとだけど。



「その資料に載っている人間には勿論僕達のことを知られないようにね。」

「分かってます。万が一接触した場合は探れる部分はやってみます。」



真下君の吐く毒に結花ちゃんは素直に返事をする。本来やらなくてもいい事を彼女自ら言い出すあたり、だいぶ昔と変わったなと感慨深くなる。不可能だと分かっていても、今の結花ちゃんを麗君に見てもらえたならと思わずにはいられない。



「そ?構わないけど、ヘマしたら今度は消すからね?」



いや、辛辣すぎだし物騒でしょ真下君。見た目とのイメージに差がありすぎてお姉さんついていけない。今は同い年だけども。


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